イルカ38景
05:暗部
「オマエ、本当に俺以外には見えないんだろうなー?」
『俺様の神々しい姿が見えるのは、腹黒属性を持つ者のみだ』
「む」
***
「見たー?」
「見た見たー」
「俺も見たー」
「アタシも見たー」
「俺、見てないっ なになに?」
「ブラしてた」
「ホットパンツ穿いてました、ぴっちぴちの」
「グラサンにハイヒールも…それもピンヒールのやつ」
「え、俺見てないっすよ 誰? 誰のこと?」
「俺アレ知ってる。 リゾート・リカちゃん'98年版プレミア付き。」
「女のアタシが知らないのに、なんでアンタが知ってんの」
「だって兄ちゃんが持ってたんだもん」
「だから、なんで兄ちゃん?」
「プレミアって…、あの中忍なにものだ?」
「中忍てなんでわかるの?」
「ちゅ…中忍でしょう、アレは」
「そーっすね」
「中忍すね」
「どの中忍?」
「アレだよアレ、あそこの廊下歩ってるヤツ」
「あーアレはイルカ先生ですよ、中忍っす」
「オマエ! あの中忍知ってんの?」
「だって俺、イルカ先生のクラスだったっすもん」
「イルカ先生ぇ? アカデミーの先生?」
「そっす」
「…」
「…」
「…」
「…」
「あ…アカデミーの先生の…か、肩に、な…んであの先輩が止まってんの?」
「さー」
「さー」
「さー」
「肩って?」
「はーい、俺俺、昨日先輩と任務したっすよ」
「俺もー、おとといしたー」
「俺も俺もー」
「俺はしてないっ ってゆーか誰の話?」
「小っさくなかったっすよ」
「あったりめーだろ、小人さんの依頼かよ」
「でもじゃあ、アレ…も任務? なんかの任務かしら?」
「そ、そう…なんじゃね、きっとそうだよ」
「そう…だよねー」
「そうだよー、なんだー吃驚したー」
「あははは」
「あはは」
「あは」
「誰の話してんすかぁ?」
「いいから見てみろよ、あの中忍のぉ、左肩の上ぇ」
「えー…っと あ、カカシ先輩だーっ」
「オマエ、どこ見てんの? こっちでしょ…ってエエーッ!」
「ねねねね、先輩たちぃ、アレってカカシ先輩っすよね? かっくい〜な〜、憧れちゃうな〜」
「カカシ先輩だ」
「カカシ先輩だね」
「あっちもカカシ先輩?」
「…か、影…分身…さ、ほらあの人、得意だったじゃね?」
「そ、そうだよねー」
「そうだそうだ」
「あははは」
「あはは」
「あは…でー、どっちが本体?」
「そんなのデッカイ方に決まって…」
「決まってますよ…」
「ねぇ…」
「あっ イルカ先生の肩に何か変なヤツが! イルカ先生ーっ」
「わっ ばかっ」
「出るなっ」
「ドジ」
「オマエ、暗部の自覚あんのか?」
「でも、でも、あの禍々しいチャクラはっ イルカ先生ーっ」
「わっ 禍々しい言ったよコイツ!」
「言ーってやろー言ってやろー」
「おい、ちゃんと押さえろよ」
「イルカ先生ーっ ちくしょうっ 離せーっ」
「大丈夫だ、オマエのイルカ先生は大丈夫だから!」
「ほら、あの…へ、変なヤツとイルカ先生は仲良し?みたいじゃないか、なぁ?」
「わっ 変なヤツ言ったよ」
「でも変だよね」
「変なヤツがイルカ先生をーっ(泣) イルカ先生ーっ」
「だいじょーぶだから! オマエらも笑ってないで大丈夫って言えよ」
「うぷぷぷっ そうだぞ、イルカ先生は大丈夫だ」
「でもー(泣)」
「よく見ろよ、イルカ先生だって全然平気そうじゃないか、なぁ?」
「なぁ」
「ねぇ」
「なぁ」
「…」
「なんであの中忍…」
「平気なんだ?」
「イルカ先生って何者?」
「う〜、イルカ先生ぇ」
***
「おい、オマエが見える人間は腹黒だって?」
『そ…そうだぞ』
「今の人な、顔ほとんど隠れてて判んなかったかもしれんけど、あの人がカカシ上忍だ」
『そ、そ、それがどうした?』
「あの人、オマエのこと見えてたぞ」
『ななななんで判んだよ、そんなこと』
「だって、擦れ違う時「くす」って笑ったもんね、バカにしたみたいにさー」
『そ…』
「腹黒だな、あはははっ」
『どうせ腹黒ですよ(ボソ)』
「なんだって?」
『べっつに〜。 それよりアンタ、他のそれも上忍なんかに俺を見られて困らないのか?』
「それこそ「べっつに〜」だ! どうせ覚えはめでたくないし、口寄せの獣くらいに思ってくれるだろ」
『俺様がアンタの口寄せ?! 失敬な!』
「いいじゃないか。 それに、どうせ気にも掛けないよ、俺なんかが何してたってさ」
『卑屈』
「にゃんだとーッ」
***
「目標1発見!」
「カレーうどん摂取中!」
「目標2発見!」
「カ…カレーうどん摂取中…」
「かわいい v」
「らぶりぃ v」
「たしかに」
「回りの他の中忍には見えてないみたいですね」
「幻術かけてんじゃね?」
「あの人得意ですもんね」
「我々暗部には効かんがな、わっはっはっ」
「あ、アスマ上忍接近中!」
「紅上忍もです!」
「いつ見ても迫力の美女ですな」
「あ…」
「ああ…」
「見えてますね、あの二人」
「そりゃあね」
「上忍だもんね」
「で?」
「でって?」
「で、あの人…カカシ先輩…見られてOKなんすか?」
「…」
「…」
「…」
「監視続行ーッ!」
「ラジャ!」
***
「遊びに行くのか?」
『し、失敬な! 俺様には俺様の都合があるんだ!』
「5時までに戻れよ」
『子供じゃあるまいし、そんなに早く帰れるか!』
「じゃあ置いてくぞ」
『勝手にしろっ』
「自分より強そうなヤツが相手の時は素直に逃げろよ」
『な…なんのお話ですか?』
「ボス猫はボス猫でな、いろいろ大変なんだぞ」
『巡回ですか? 猫の巡回ですか? え?』
「今晩はカレーだからな」
『はぁーッ?! だ…だって昼飯、カレーうどんだったじゃんかーッ!』
「朝は納豆だったろ」
『納豆…! おお! 俺様がアレのおかげでど……んなに苦労したか!』
「明日の朝は刻んでやるよ」
『ま…毎朝納豆にするつもりかぁ?!』
「朝はナット、昼はカレーうどん、しがない中忍の食生活を思い知れッ ははっ」
『せめて晩飯はカレー以外にしてくれぇ』
「だーめ、今日はなんかカレーの気分♪」
『もう帰らんっ』
「勝手にしろ」
『勝手にする!』
***
「目標1、今晩はカレーらしいです!」
すみません。これは続き物です。20→09→01→31→05→24→33→27→35 の順番です。
戻る→
31:両親
つづく→
24:部隊長
BACK / NEXT