嵐の夜に


2


「い、いやだ、ああ…」

 コウキチのペニスがアナルを犯す。 体格は然程違わないがずっと若い自分の抵抗をモノともしないで、コウキチはヨウスケを組み敷いた。 自分に油断があったのも確かだ。 あんな事があった直後とは言え、まさか親とも慕うコウキチが、こんな事を自分に仕掛けてくるなど、思いもよらなかった。

 今日、野菜を届けた後、コウキチに勧められるまま旅館のラウンジでお茶をいただき、その時「久しぶりに今晩覗いますから」と言われた。 久しぶりも何も、いつもの事だと、ヨウスケが愛想よく頷けば、コウキチも笑う。

「立川先生も呼んで行きますね。 何か美味いもんご馳走してちょうだい。」
「はい、野菜しかありませんけど」

 立川というのは、この辺の小学校の先生で、まだ30になったばかりの青年だ。 時々ヨウスケの店に来ては、ヨウスケやその場に居合わせた者達と茶を啜り、歓談していく。 コウキチと立川と、気心の知れた仲間と酒でも飲んで、嫌な事は忘れてしまおうと思っていたのに、なんでこんな事に…

               ・・・

「あれ… おかしいな、なんか足が…」

 くらりと足元がふらついた。 持っていたコーヒー・カップを落としてしまった。 コウキチと二人で簡素な食事をした後だった。 立川は仕事が入ったから遅れると連絡があった。

「大丈夫? ヨウスケ君」
「え、ええ。 すみません、今片付けて換えを…」
「いいから、もう休んだら? なんか疲れてるみたいよ」

 コウキチは言うなりヨウスケの肩を担いで、勝手知ったる他人の家のヨウスケの寝室まで歩いた。

「すみません、なんかどんどん眩暈が…」
「いいのいいの、それ、僕の所為だから」
「え?」
「ね、ヨウスケ君、君昨日あの紳士をここへ泊めたんだよね?」
「…」

 突飛な質問に答えられずコウキチを見ると、コウキチはいきなりどすんとヨウスケをベッドに投げた。 そしてすかさず馬乗りに圧し掛かってきた。

「コ、コウキチさん、なにを…」
「僕ね、一目で判っちゃったのよ」
「え?」
「君、昨夜あの男に抱かれたでしょ?」
「そ…!」

 ヨウスケは言葉に詰まった。 自分は、男の自分が同じ男に抱かれるという状況を受け入れるだけでもパニック状態なのに、さも当たり前そうに、しかも見ただけで判るなど…

「お、俺…」
「だからね、僕ももう遠慮は止めることにしました。」

 ヨウスケ君、覚悟してね、と言うなり、ネットリとした接吻けで口が塞がれた。 ヨウスケは、ただ硬直してその接吻けを受けた。


「ヨウスケ君、勝手に余所者なんかに喰われちゃダメじゃない。 こっちが協定結んで牽制しあってる時にさぁ」

 コウキチは、ヨウスケの衣服を剥ぎながらブツブツと呟いた。 何とか逃げようと抗ったが、どうしてか体に力がはいらなかった。 さっきから頭が重い。 身体も段々自由に動かなくなってきている。 ヨウスケはされるが儘に全裸に剥かれ、自分のベッドで足を広げさせられた。

「立川君、遅いみたいだから僕、先に頂いちゃうね。 遅れるのが悪い。」
「コ、コウキチさん、やめ、あっ」

 コウキチはヨウスケの股間に顔を埋め、ペニスを咥え込んでしゃぶりだした。 信じられなかった。 同じ男にそんなことができるなんて…。 だが、勃起つはずもないと思っていた自分のペニスが反応しだしてヨウスケは焦った。 股間で揺れる頭に手をやり、なんとか押し退けようとしたが、逆に押さえつけるばかりだった。 おかしい。 身体がじんじん痺れて熱くなってくる。 股間が疼くように張り詰め、ヨウスケは呆気なくコウキチの口の中に逐情していた。

「あ… は… あ、うん」
「なんか薄いな。 ヨウスケ君、昨夜はそんなに達かせられちゃったの? ほら、アナルだってもうユルユルだよ? つまんないな、僕が初々しいあんたを手取り足取り仕込みたかったのに。 まぁ今でも充分初々しいけどね。」

 ヨウスケが胸を喘がせている間に、コウキチに指でアナルを掻き混ぜるように広げられながら、耳に次々吹き込まれる信じられない淫らな囁き。 でも朦朧とした脳が、半分も意味を汲まなかった。 ヨウスケは喘いだ。 自分の喘ぎ声が女のようだ。 なんだ、この甘えた響きは。 誘っているとしか聞こえない。

「いや、あ、いやぁ、んん」
「いい声で鳴くね、ヨウスケ君。 腰にキちゃうな、その声」
「ああっ あんっ んんー」
「昨夜もそんな風にあの男の下で鳴いたの? 許せないな」
「違う、あ、あ、離して」
「何が違うの? あの男に抱かれたんでしょ?」
「し、知らない、覚えてない、俺、俺…」

 ヨウスケは泣きながら頭を振った。 自分で覚えていない事で責められてもどうしていいか判らない。 コウキチはヨウスケのペニスを固く握ってしゅっしゅっと上下に扱きながら今度は乳首に舌を這わせ出した。 男なのにそんな所、と思う間もなく、ヨウスケは腰まで走るツキンとした刺激に震えた。

「嘘ばっかり、ほら乳首でこんなに感じちゃってるじゃない。 中の指、きゅうきゅう締め付けてるよ。 あいつに仕込まれたんでしょ? 嫌ってほど」
「でも、ほんとに、お、覚えてな… あ、ん、やぁ」
「何、ヨウスケ君泥酔でもしてたの? それともアイツも薬盛った?」

 アイツ”も”?

---俺、やっぱり薬盛られてたんだ、それでこんなに身体が変…

「いやだ、もう嫌だ、離せ、ああ、ああっ」

 ヨウスケは抗った。 どうしてこんな扱いを受けなければならないのか。 しかも薬を盛るなんて卑怯な手段を使われて。 だが、急に暴れ出したヨウスケにコウキチは多少驚いたようだったが、それも一瞬で、直ぐに抵抗は封じられた。 アナルを犯され急所を握られているのだ、限界があった。 的を得たマス掻きに息が上がる。 年の功なのか、コウキチの手管に為すがまま喘がされ、ヨウスケはまた果てた。

「あ…は、あ… うん」
「覚えてなくっても、抱かれたって自分でも判ったんでしょ? こんなに跡付けられてちゃね」

 身体中に散った赤い花に接吻けながら、コウキチは指を3本ヨウスケの中で躍らせた。

「それとも、あんたのここから抱かれた証が流れてきた?」

 朝のショックを思い出し、後ろを犯す指を我知らずまた締め付けてしまう。

「ふーん、そうなんだ。 たくさん出た? アイツ、あんたの中に溢れるほど注いでたの?」
「コ、コウキチさ…」
「なに、ヨウスケ君、かわいく名前呼んでくれちゃって」
「指、やめ、て、あ、あ、ああっ」
「指じゃなくって、コレが欲しい?」

 コウキチは一頻りヨウスケの中を3本の指で嬲った後、自身の猛った熱い股間を宛がった。

「や… あ…… ああ、あ…」

 昨夜の事は本当に覚えていない。 だからこれがヨウスケにとって初めて意識する”男に犯される”経験だった。

「コ…キチさ…や、あ、やぁ」
「かわいい、ヨウスケ君」

 たっぷりかわいがってあげる。 コウキチはそう宣言すると、ヨウスケの両足を抱え上げてユサリと体を揺すりだした。 何もかも、信じられなかった。 コウキチのペニスは中々の代物で、動かされる度に強烈な圧迫感に内臓ごとせり上がってきそうな気がした。 しかも突き方が巧みで、直ぐにヨウスケの反応から好い場所を探り当てられ、言葉通りたっぷりと執拗に責められた。

「いやぁ、あ、も、もう、コウキチさ、ああ」
「何が嫌? 全然嫌そうじゃないけどね。 それにしても、あんた素質有りすぎ。 そんなに感じてる風で煽ったら止めらんないよ。 立川君だったら若さで壊されちゃうかもね」

---立川が来る? そうだ、立川先生が来たら助けてもらえる

 こんな姿を他人に見られるという事も忘れて、ヨウスケは立川が一刻も早く来てくれる事を祈った。 コウキチの言い様では、立川もコウキチと意思を通じていそうだと判りそうなものだったが、今のヨウスケにはそんな回る頭はなかった。

「あ、あうん、た、たすけて、や、あ、たすけ」
「酷いなぁヨウスケ君、こんなに善がらせてあげてるのに助けては酷いよ?」
「も、いや、抜いて、離してぇ」
「だめだめ、ほら、まだまだあんた達けそうじゃない」

 またしても自身に手が掛けられ、突き込みに併せて扱かれる。 徐々に律動も速まり、中のコウキチ自身が一瞬倍くらいに膨張したような感覚に襲われ、同時に激しく自分を握った手を上下された。

「い、あ、あああっ」

 コウキチが抉るように大きく身体の奥を突き上げ、奥に熱い飛沫を注ぎ込んできた。 その感覚に震えている間もなく、ペニスを強く握られて親指で先を擦られ、ヨウスケも甲高い叫び声を上げて達した。 身体中ががくがくと痙攣し、女とヤッタ時などとは比べ物にならないくらいの激しい絶頂感に打ち震える。 もう何も判らなかった。

「コウキチさん、抜け駆けは無しって言ったじゃないですか」

 酷いな、と誰かがドアを乱暴に押し開けて、無遠慮に入ってきたが、ヨウスケは反応さえできなかった。

「あれまぁ、かわいい顔して善がっちゃって」

 剰え、その人物はヨウスケの顔に大きな手を宛がうと、胸を喘がせているヨウスケの口を塞いだ。 ぬるりと舌が入り込み、口中を遠慮なく嘗め回す。 立川だった。

「ん、んん、んぁ、ぁ、た、立川く、んん」
「もうメロメロじゃないですか、俺の楽しみも取っていてくださいよぉ」
「君が遅れるのがいけない」

 立川はヨウスケの口中を犯しては、コウキチと何やら言い合いを始めた。

「コウキチさん、そこ退いてくださいよ、もう充分楽しんだでしょ、今度は俺の番」
「だって立川君、この人かわいすぎ、中々止めらんないのよ」
「ちくしょう、あの教頭のヤツ、出掛けに仕事押し付けやがって、ああ俺3番目?」
「それがね、この人昨夜のこと覚えてないらしいのよ」
「嘘でしょ、この反応で?」
「そうなのよ、深酒でもしたのか薬でも盛られたか」
「あなたも盛ったんでしょ?」
「まぁね、だってほれ、僕ってば年寄りでしょ? 抵抗されたらきついから」
「ここまでやっといて何言ってんだか」
「だってさぁ、この人、頭の中は処女なのに、体はやらしい淫売よ? もう堪んないって」
「やっぱりもっと早く手を付けとくんでしたね」
「まったくね」
「でも覚えてないんじゃしょうがない」
「そうそう、僕達で仕込んであげましょ」
「かわいいなぁ、ヨウスケさん、ポヤンとしちゃって 今すぐ泣くほど善がらせてあげますからね」
「立川君、君のマラ、なかなかだね」
「早くどいてくださいよ、コウキチさん、俺のマグナムが逸っちゃって爆発寸前なんですから」
「たしかにマグナムだねぇ」

 そんな会話が聞こえたが、どこか自分とは無関係の別世界の話のようだった。 その時、自分の中からズルズルと太い物が這いずるように抜けていき、ヨウスケは悶えた。

「あ… あ、あ…」
「あーらら、気持ちよさそう」
「この人、ほんとに素質あるみたいよ」
「悔しいなぁ、先に持ってかれて」
「見てよ」

 完全にコウキチが抜け出てしまうと、ヨウスケは二人に身体をあちこち撫で繰り回された。 身体は異常に敏感になっており、そうされるだけでビクビクと反応してしまう。

「すっげぇなこれ。 なに所謂所有印ってやつのつもりですかね?」
「そうなんじゃない」
「後から来といてがめついヤツだな」
「あ、あん」

 二人の手が乳首にペニスに、そしてまたアナルに伸ばされ、ぐにぐにと中を弄られて、ヨウスケはシーツを掴み喉を仰け反らせて喘いだ。

「かわいく感じてる」
「すごい好かったよ」
「俺の番ですよね」
「どうぞ」
「じゃ、いただきますよ、ヨウスケさん」

 嫌ってほど泣かせて昇天させてあげますよ。

 立川は、そう言ってヨウスケの足を抱え上げ、太い先端をアナルに宛がった。 間髪を居れずズンと突き刺される。 だが、コウキチに抱かれて既に緩んだアナルでも、カリの部分を飲み込まされるまでは冷や汗が滲む程苦しかった。 それが過ぎると、今度はなまじ抵抗なく入ってくるため、喉から内臓が飛び出そうな感覚に総毛立つ。 それに、立川のペニスは若さか腹まで反り返っており、硬度も鉄杭のようで、穿たれた瞬間からヨウスケは仰け反って喘いだ。 身体の中を抉られ削り取られるようだった。 抱き締めてくる腕も筋肉質で力も強く、苦しくて固く締め付けられた腕の中でヨウスケは身を捩った。 だが、それを更に押さえつけるようにして抱き竦められると、大きく激しく上下する身体ごとの律動で中を突き荒らされ、息も絶え絶えに喘がされる。 立川の最初からの激しい抱き方に、ヨウスケは震え上がった。 本当に壊される、そう思った。 だが、もう既に声も出ない。

「ああ… は… ふ、ん」
「ヨウスケさん、一回達っていいかな? 俺、このままじゃあんたを抱き殺しちゃう」
「や、あふ、うう」
「一回達っとけよ」

 コウキチがヨウスケの頬をするするとあやすように撫でながら促した。 その途端、突き上げが一層強くなり、直ぐに叩きつけるような熱い飛沫を奥で感じた。

---ああ、俺、輪姦されてるんだ、二人の男に犯されて注がれてる、それで女みたいにあんあん善がってる

 ヨウスケはそこで意識を手放した。 だが、そうする事で逃げたと思えたのはほんの一瞬だった。 再び体の奥を突き上げる律動で覚醒したヨウスケは、失神したままの自分を好き放題揺すっては、体中に接吻け舌を這わしている立川と、やはり乳首やペニスを嬲っているコウキチに愕然とした。 完全に玩具にされている、そう思った。 俺はただの慰み者で、これからもずっとこの二人に身体をいいように弄ばれていくのだ、そう思った。





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