真言使い

- From Dusk Till Dawn -


7



「んん、んー」
 イルカは首を振って暴れてみたが、上に圧し掛かっている男の体はびくともせず、唇も外した傍から追ってきて再び塞がれた。 試験管の男の指はすぐさま三本に増やされた。 イルカは最早暴れることさえできなくなって、ただ体を仰け反らせて震えた。 自分の両足の間に割り入って大きく開かせている男の腰のモノが脇腹に当たっており、それが硬く猛っていて恐ろしい。 三本の指は激しく自分のアナルを出入りしている。 時々中を掻き混ぜるように回されて、どうしようもなく体が跳ねた。 先程までの悪夢のような行為を思い出し、イルカは再び頭を振って暴れ出した。
「ん、んー、んぁ、や、やだ、もうそれはいやだっ」
「ん〜、だめだめ、こっちも気持ちいいって解ってもらわなきゃ」
「き、気持ちよくなんかない」
「嘘々、さっきあんなに俺に揺すられて喘いでたくせに」
「喘いでなんかっ」
「じゃあ、これは?」
 男の指がアナルの奥の一点を突く。
「あっ」
「ほら、感じるでしょ?」
「あ、あ、ああー」
 男が何回も続けさまに前立腺と思われる場所を引っ掻くように押しだした。 跳ねる体が止められない。 ぬぷぬぷと濡れた音が耳に届き、脳まで犯されそうだった。
「やぁ、あ、あ、あ」
 自分の声さえ甘く強請るようで、耳を塞ぎたかったが両手は勝手に男の首に縋っていた。 腰がゆらゆら揺れているのが自分でも判る。 男はその猛った太いモノを小突くようにイルカの体に擦り付けながら、アナルを更に掻き回した。
「あふ、うん、は、あぁ」
「ね、気持ちいいね?」
 イルカは目を瞑って首を振った。
「ふふ、もしかして指じゃ足りないんじゃないの?」
「や、ちがっ」
 前立腺を叩かれ、びくびく震える体を持て余し、イルカは無意識にさっきまで自分に埋め込まれていた男の熱く太いモノの圧迫感や擦られる感覚を思い起こしていた。
---アレは違う、快感なんかじゃないっ
 首を振って、体に甦ってきた感覚を振り払おうとしたのだが、アナルの中で蠢く指が忘れさせてくれなかった。
「ね、俺がほしい?」
「ほしくなんかないっ」
「俺の太いので、あんたの中を抉ってあげるよ? 奥の奥を突いてあげる。」
「い、いやだ」
「突いて、引いて、突いて、引いて、ね、思い出してきた? 気持ちよかったでしょ?」
「う、あん、指、やめて」
「指じゃなくて、何がほしいの?」
「ん、な、何にも」
「ふーん」
 二本の指先が前立腺にひたりと当てられ、擦るように中で上下されてイルカは身を捩った。 その刺激は、達くには弱すぎ、だがじりじりと体の奥の方で熱を溜め込んでいった。
「あ… ん… うふ」
---あ、足りない、もっと強く、もっと奥へ
 自分の欲望にはっとする。 だが、一度欲しいと認めた体は、もっともっとと堪え切れないほど激しく刺激を求めた。
「あ、それ、や、あ」
「じゃあ、やめるか」
 男が指の動きを急に止めた。
「あ? あ、あ、やぁ、やめないでっ」
 イルカは知らず叫んでいた。
 男はニヤリと嗤っていやらしくアナル全体を揉み解し、掻き回した。
「ふふ、やっと認めたね。 素直になりなよ、俺がほしいでしょ? 欲しくて欲しくて堪らないでしょ?」
 だが、イルカは往生際悪く首を振った。 途端に指が大きく注挿し出す。
「ほら、こうやって俺の太くて硬いので突いてほしいでしょ? こうやって、こうやって」
 指の注挿が一層激しくなったが、やはり既に男を知った体は足りない、と訴えて止まなかった。
「あ、ああ、ほ、ほしいっ」
 イルカは終に堕ちた。
「ほしい、挿れて、おねがい」
「いい子だね」
 男はイルカの中からズリュッと勢いよく指を引き抜くと、太腿を掴んで大きく広げ、内腿の柔らかい場所を何度か撫で擦った。
「んぁっ あ、あ…、は、やく、早くぅ」
「…くくく、はいはい」
 男がぬぬぅっと入ってきた。

     ・・・

 一度誘惑に陥落した男は、羞恥心より欲望が一気に勝ったのか、早く早くと焦れったそうに強請った。 男のアナルは、充分嬲った為か本人の気持ちの現われか、前よりも柔らかく熱くカカシを迎え入れ、逃がすまいと吸い付いてきた。 直ぐに奥まで押し入ると、仰け反って晒された男の喉に喰らい付き、めちゃくちゃに突き荒らしたい衝動をなんとか抑える。 痛がらせてはだめだ。 蕩けるほど気持ちがいいと、震えるほど感じると、この男の体に教え込まねば。
「あ…、ん」
 腰を押し付けて、ぐりぐりと中を掻き回すと、男は甘く喘ぎ出した。
「気持ちよさそうだね。 どう? 感じる?」
「ん、きもち、いい」
「うふふふ、急に素直になったね」
 それならと膝裏を抱え上げ、うねる様に体を揺すって浅く深く律動を開始する。
「あ、あん…、ん、ああ」
「これ、気持ちいいの?」
 男はもう言葉も成さず、ただウンウンと頷いた。
「じゃ、これは?」
 縦の動きに回転を加えて、アナルを広げるように大きく掻き回す。
「ああっ、やぁ、あ、ああっ」
「いや?」
 男はふるふると首を振った。 振ってそしてカカシの顔を見上げ、そっと目を閉じて首に縋ってきた。
---か、かわいい
 頬に頬を擦り付けてくる男の首筋を吸い、頬を舐め、唇を奪い、口中とアナルの両方を同時に犯す。 頭がカァーっとなってしまい、律動も激しくなってしまう。
「んっ んんっ う、うん」
 苦しげに呻く男にはっとして、慌てて口を外した。
---いかんいかん、今はこの人の快感を引き出さなきゃ
「ごめん、苦しかった?」
 動きを緩めて顔を覗きこむと、男は目を潤ませて首を振った。
「ううん、きもちいい。 どうかなる。」
---ああ! なんてかわいいこと言うんだ
「どうかなっていいんだよ。 もっと俺を感じて」
「ん」
 こくりとひとつ顔を頷かせて、男はカカシにきゅうとしがみついてきた。
「イイ時はいいって言ってね? そこを責めてあげるから」
「あ、は、はい」
 こくこくと顎を細かく引くのが頬に伝わってくる。
「じゃあ、いくよ」
 カカシは本格的に律動を開始した。

 男が切なげに鳴く箇所を、探し出しては集中的に責め上げる。
「あ、あん、ん、ああ」
「ね? イイ?」
「うん、イイ。 すごく、きもちい」
 男はうっとりしたように、イイ、と繰り返した。
 男のアナルは、うねるように顫動し、やわやわと食むようにカカシを締め付けてくる。
---ああ、気持ちいい
 我を忘れてしまいそうになるのを堪え、カカシは当初の目的を果たそうと男の顔近くまで伸び上がった。
「ね、あんたの名前、教えて?」
「ん、な、なまえ?」
「そ、名前。 いいでしょ?」
 強請るように甘えた声音を作り、男の耳に吹き込んだ。
 だが、男は眉を寄せて少し考え込む仕草をすると、首を振った。
「ううん」
「そんな事言わないで? 俺、あんたの名前を呼びながらシタイんだよ、ね? 教えて?」
 カカシは男の集中力を逸らそうと、緩くしていた突き上げを少し強くしてまた聞いた。
「あ、あ、そ、そんなこと、言ったって、わかんない、だもん」
「わかんないって、あんた…」
 カカシははっとして男の目を覗き込んだ。
「名前を言ってごらん?」
 目の色を観察しながら再度問う。
 男はぐずるように首を振った。
「んん、わかんない」
「じゃあ、あんたの所属は?」
「知らない」
「あんたの階級は?」
 中忍と判っていることまで問うてみる。
「あ、わかんない、わかんないっ」
 男は頭を押さえて闇雲に首を振り乱した。
「わかった、しーー、もう聞かないから」
 いい子だね、と髪を撫でてやり落ち着かせてやりながら、内心で舌打ちする。
---くそっ 何か暗示がかかってやがる
 誰が、何時かけたのか、もしかして自己暗示かもしれなかったが、それはかなり強いものらしかった。
---車輪眼を使ってみるか
 カカシは、あまり気の進まないその方法を、仕方なく試すことにした。
 左目を開けて、男に見せる。
「ね、この目を見て」
 男はじっと放心したようにその三つ巴の赤い焔を凝視した。
「ここはどこの里だ?」
「木の葉」
「おまえは今日ここに何しに来た?」
「し、試験に…」
 一般的な質問には答えられるようだった。
「おまえの名前と所属を言え」
 命令口調でそう告げて答えを待つ。
 男は眉を顰め、一頻り何かに葛藤する様子を見せていたが、急に体を捩ってえづきだした。
「う、げ…」
 ゲホッゲホッと体を折って咽る男にカカシは慌てた。
「もう、もういいよ、考えないで」
 ごめんね、と男の体を抱き締めて背を擦る。
「ご…めんなさ… ほんとに、わかんない、です」
 男が腕の中で涙声で言い募る。
「わかった、もういいから」
 カカシは男の頬を撫で、考えさせないように突き上げを再開した。

     ・・・

「あ、あ、うん」
 また悩ましく喘ぎ出した男にほっと息を吐き、カカシは困ったことになった、と考えた。
---かなり強い、なんてもんじゃない。 かけた本人にしか絶対解けない代物だ。
 または、何か条件が揃った場合にだけ解術する…
 しかも、あの類の暗示は、かかった状態の間の事を解けたと同時に忘れてしまう確立が高い。
---マズイ、俺の努力が…
 全部、水の泡かよ、と頭を抱えたくなった時、男が心配そうにこちらを窺っているのに気付いた。
「あの、だいじょうぶ、ですか?」
「あ、うん、何でもない」
 カカシはお座なりになっていた律動を再開し、男の顔を真面目に見つめた。
「ね、あんたさ、何か暗示、かけられてるでしょ?」
「え? あ、暗示? 俺に、ですか?」
 他人に掛けられたとしても自己暗示だとしても、かかっている間はその事を忘れている可能性もあるので聞いても仕方がない質問だったか、と思いもしたが、男が何か喋るたびに腹筋が引き締まりアナルもひくひくと収縮を繰り返すのが気持ちよくてカカシは尚も話を続けた。
「あんた、自分の事、なんにもわかんないでしょ?」
「俺、のこと?」
 また眉を寄せて考えようとするのを慌てて腰を突き込んで止める。
「あ、あ、んん」
「いいよ、また頭いたくなっちゃうから考えないで。 あんたね、自分の個人情報を自分で引き出せなくなってるのよ。 そんなに俺に知られたくないってことなのかねぇ」
「う、ああ、そん…な、俺なんて、なにも」
「うーん、あんた本人じゃなくて、誰か…、そうだなぁ火影の爺さんてとこかな」
 また”爺さん”だなんてと怒られるかと思い腰をぐりぐり回して男の思考を奪う。 気持ちよくて、一頻り男の中を堪能した。 彼の前は自分達の腹の間で擦られまた緩く勃起しており、カカシが握って扱いてやると男は切なげに鳴いて、中のカカシをきゅうきゅう締め付けた。 カカシは堪らなくなって体を倒し男の唇を一回乱暴に貪ってから、腿を掴みあげて激しく男を突き上げた。 男は足先を痙攣させて前を弾けさせ、中のカカシを引き絞るように締め付けてきた。 カカシも唸りを上げて男の奥に強く穿ち、欲望をその中に吐き出した。 腰がびくびく震えるほど気持ちよかった。 男の体にどっと覆い被さるようにして体を弛緩させ、荒く息を吐いて緩く腰を抜き差しして最後の余韻を楽しむ。 男の中はそうされるだけでひくりひくりとカカシを締め付けてきた。 カカシ自身も、これだけやってもまた直ぐ猛ってきて、こんな事は久しぶりだと苦笑が漏れる。 
「ふぅ、ああ、気持ちいい、さいこー」
「あ、はぁ、は…」
 息の整わない男の唇を吸いながら、カカシはその胸や尻を撫で回してひっそりと溜息を吐く。
---これほど互いに感じあってセックスしても、この人は俺のこと忘れちゃうのか…
 カカシは哀しくなって男に言っても詮無いことを訴えた。
「あんたに暗示がかけられてるらしいんですよ。 きっとこの試験が終わったら解けるか、かけた人が解いてくれるんでしょうけど、そしたらあんたはこの試験の間にあったこと、きっと全部忘れちゃいます。 俺のことも、俺とこうして睦んだことも、ね」
「え……」
 男は信じられないような顔をしてカカシを見つめた。
「俺ね、できればあんたから素性を聞き出して、これが終わった後もあんたと会いたかった。 あんたとの繋がりを持っていたかったよ。 でもあんたは皆忘れちゃって、この後どこかで俺に会っても俺のこと判らないんだね。」
「俺…、あなたのこと忘れるんですか?」
「ん、たぶんね」
「俺が、今夜した事、全部、ですか?」
「いや、全部かどうかは解らないけど、まぁ多分俺に関する事は忘れるかも…」
 ここでカカシは、もし自分がこの人に氏素性を聞かなかったらこの暗示は発動しなかったのかもしれない、と思い至った。 そうだ、実際最初に森の入り口で会った時は、この人がアイデンティティを失った人間には見えなかった。 おかしくなったのは、俺が名前を聞いてからだ。 俺は、自分で自分の首を絞めたって訳か。 そして、この暗示をかけた奴は、カカシがそれに気付くことまで想定している観があった。 だが、今頃気付いても後の祭りだ。
「じゃ、じゃあ、あなたとした事…忘れるんですか? あなたに抱かれたことも?」
 腕の中の男がカカシの思考を破って不安げな声を投げかけてきた。
「まぁ、たぶんね」
「俺が、俺が…」
 男はそこで言葉に詰まって顔を赤らめたが、それどころではないと思ったのか、カカシの顔を真っ直ぐ見つめて言葉を継いだ。
「俺、あなたに抱かれて、こんなに感じて、それなのにいつかまたあなたに抱かれても、俺、あなただって判らないんですか?」
「………」
「俺は、あなたのこと覚えてようと思って、あなたがした事とか、どんな感じだったかとかずっと、一生懸命…」
 カカシは男の顔をじっと凝視したまま体を起こした。
「うん、それ、いけるかも」
「え? それ、って?」
 カカシは答えず男に穿ったままの自身をズルズルと半分ほど引いた。
「あ、ああ、い、や、あ」
「ふふ、何がいや? 抜いてほしくない?」
 揶揄する言葉に、だが男は眉をぎゅっと寄せてこくりと頷きを返した。
「夜が、明けるまで、まだもう少し…」
 その後はさすがに言えなかったのか、男はカカシの胸に顔を押し付けて擦りつけた。 なんてかわいいこと言ってくれるんだ、とカカシは心底この男がかわいくなって、縋りつく体を抱き締めた。
「朝がきても終わらないかもね。」
 そう言って、ふふっと密やかに笑ってから言い聞かせるように耳に囁いた。
「俺もあんたに忘れてもらいたくない。 でも、記憶のほうはどうにもならないかもしれない。 無理に弄るのは危険だし、俺も嫌だ。 だけど、記憶が封鎖されてても、体は覚えてるかもしれない。」
「え? 体?」
「そう、さっきあんたも聞いたよね、次に抱かれても判らないのか?って。 きっと体は覚えてる、否、覚え込ませる。 これから、じっくり、嫌という程あんたを感じさせるから、あんたも素直に感じて俺を覚えて? いいね?」
 頬を染めてカカシの顔を見上げる男の返事を待たず、カカシはさっき引いた自身をズクンと男に突き入れた。
「ああっ」
「いいね?」
「は、い」
 男の腕が、再び首に回された。

     ・・・

「これは?」
「あ、いいです、ん」
 カカシは、男が善がる箇所を執拗にじっくり責めては、更に奥へ奥へと己を穿った。 いいか、と聞かれて、いいと答えている裡はまだだめだ。 この男が正気を手放して、ただ喘ぎ乱れるようになるまで、夜が明けて朝日が昇っても止める気はなかった。
「こんな奥がいいの? 奥が感じるんだ、あんたやらしいね。 あんたの中、熱い…」
 だが、男を乱れさせるはずが、ともするとカカシの方が男の熱に引き摺られて達かされそうだった。 男の中は、カカシが突き込む度にカカシを飲み込もうとするかのように奥へ奥へと導いていく。 カカシは、自分が男の奥を穿っているのか、男に奥へ引き込まれているのか、わからなくなっていた。
「う… ああ」
 最早呻き声も止められない。 しかもその声は上ずって、まるで自分が抱かれて喘がされているようだった。
「ここ、ここは? どう?」
 なんとか自分に主導権を取り戻そうと、カカシは突き込む角度を変えて男を抉った。
「あんっ ああ、そこ、いや…」
 男は一回全身を震わせて、嫌々と首を振った。 男の足はカカシの腰に巻き付けられて、カカシの腰の動きに合わせてゆらゆらと揺れている。 カカシはなるべく男の顔近くに居たくて、男の足を抱え上げるのを諦め、胸を併せてて首の後ろに腕を回して抱き締めていた。 抱き締めたまま接吻けを繰り返し、首筋に顔を埋めてその耳元で呻き声を吹き込んだりしていたのだが、そうすると男は言われもしないのに自分から足をカカシの腰に絡め、もっと深く繋がろうと角度をとってきたのだった。 カカシが上から一回深く突き込むと、男は腹筋を震わせてアナルを収縮させた。 それが、まるで物を嚥下する動きのように、カカシ自身を奥へ奥へと飲み込んでいく。
「い、いやぁ」
 いや、と言いながら、男の内部はさっきよりもずっと強くカカシを噛み締める。
「ああ、す…ごい、うう」
 カカシは呻いた。 目がチカチカする。 達ってしまいたい。 下腹が既に笑っているようにヒクついてきている。
「ここ、ここがイイの?」
 熱に浮かされてカカシは動きを激しくさせた。
「ああ、ああ、やぁ、いやぁ」
「いやじゃ、ないでしょ、こ…んなに、締め付けて」
 カカシの腕の中で顔を振っていやいやと喘ぐ男の顔を両手で押さえて荒く接吻け、カカシは尚も腰を振った。 絶頂は近い。 腰の動きが止められない。
「ほら、イイんでしょ、ちゃんと感じて、俺を」
 いい子だから、と涙でぐしょぐしょの顔に接吻ける。 男はしっとり濡れて震える睫を瞬かせ、カカシの顔を食入るように見つめた。
「ん、ん、イイ、そこ」
 細かく頷いて唇を寄せられ、カカシは胸の奥がじんわり熱くなるのを感じた。
「ああ、くそっ いいっ」
 感情に連動したように達してしまいそうになり、男の肩を強く掴んで動きを止める。 腰がぶるぶる震えている。 男の首筋に顔を埋めたまま、カカシは呻き続けた。
「ううう、あ…、っく、う」
 男の中が、きゅっきゅっと痙攣している。 ああ、いっちまう、カカシがそう思った時、男がカカシの腕から抜け出さんばかりに背を撓らせた。
「あっ ああ、ん」
 その背を強く抱き締め、目の前に晒された尖った乳首に誘われるまま舌を這わすと、男は更に喘いだ。
「ああっ あ、あん」
 男は壮絶に色香を放って喘ぎ続けた。 もうその目は焦点を失っていた。 ただ悩ましく首を振り、黒髪を散らし、手は彼方此方と当て所なく彷徨って腰を揺らめかす。
「好きだっ あんたが好き、俺のもんだっ」
 その媚態に堪らなくなって、カカシも激しく律動した。
「忘れるな、俺を、ほらここが、あんたのイイとこだ、必ずまた抱く、俺を覚えろっ」
 腰を突きこみ、ぐりっぐりっと回す。 抱き締めていた撓る背を離すと、揺らめく腰を両手で掴んで注挿を激しくした。
「ああっ ああ、ああっ」
「これが、俺だ、俺を、覚えろっ 俺はっ」
 あんたを忘れない、決して
 男のアナルがきゅっきゅっきゅうっとカカシを吸い上げ、締め付けた。
「あ、う… ああ」
 カカシは呻き声を漏らして果てた。 どっと男の上に雪崩れ込むと、二人してはぁはぁと荒く息を吐く。 濡れた手で男の髪を乱暴に掴み、顔を撫で回して唇を吸った。 男は意識を手放していた。

     ・・・



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