イルカ38景


34:強がり



「しょうがないですねぇ。 もう私が出るしかないですか」
「う〜〜、そんな事言ったってだなぁ、アレは明らかに審査に不正が…」
「言い訳はいいです。 あなたが暴れた所為で修理費等請求されてしまって余計に金が要りようになったんですから、もう背に腹は換えられません」
「出るって何に?」
「もちろん、クイズです!」
 シズネは高らかに言い放った。
               ・・・
「あなたの人生を変えるかもしれないクイズ・ミリオネア! 今夜の最初の回答者は木の葉のシズネさん!」
「どうも」
「今日は、どなたが応援に?」
「私の上司の綱手です」
「これはこれは、お美しい… それにとっても豊かなバストだ。」
「スケベたらしい言い方はやめろッ セクハラで訴えるぞ!」
「綱手さまッ しーッ」
「うぉっほんッ では、クイズ・ミリオネア、第1問!」
               ・・・
「その女に4択は不要だぞ」
 シズネが第1問の選択肢がアナウンスされる前に答え、剰え「ファイナルアンサー!」と言い切ったので綱手姫は踏ん反り返って口を挟んだ。 まるで自分が即、回答しているかのような尊大さだ。
「いいな、シズネ?」
「はい」
「そんな強がり言って、今はまだ問題が簡単なだけですよ?」
「ニノとやら、その女を甘く見ると痛い目に遭うぞ?」
「そうですか、では言う通りにしましょう」
「その代わり! シズネが4択無しに全問正解したら、賞金を倍の2000万にしてもらおう!」
「綱手さま、それはあまりに強引です。 この方は唯の司会者です。 そんな権限はありません。」
 ニノの顔がヒクリと歪む。
(この女だけは敵に回してはいかんな…)
 綱手さえも震え上がらせるシズネの知能戦は、もう既に始まっていた。
               ・・・
「で、では、最終問題! これに正解すれば1000万、いえ、2000万でしたね。 では問題です!」
『………は、次の内どれ?』
「卑怯な…」
「そんな問題は4択無しには答えられんではないか? 取り消せ!」
「そんな約束はしてません」
「姑息な…」
「ニノとやら、オヌシ、恥ずかしくないのか?!」
 ドカバキボスッ
『***只今、多分に暴力的且非人道的な破壊行為が行なわれております。
     放送は自粛させていただきます。悪しからずご了承くださいませ。***』




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