イルカ38景
10:中忍_2
押しても引っ張っても叩いても外れないバトル・スーツに、二人ともすっかり息が上がっていた。
「カカシさん、ごめんなさい。 俺が意地張ったばっかりに…」
イルカは情けなくなって、泣きべそを掻きながら謝った。 なんとかヘルメットのゴーグル部分だけは外れたので、二人して首を伸ばしあってちゅっちゅっとキスだけはし合い、おでこを擦り合わせる。 カカシも疲れた顔をしてはいたが、優しげにイルカの顔を撫でてくれた。
「いいえ、俺がちゃんと言葉にしなかったから悪いんです。 ごめんね、イルカ先生。 好き、大好きですよ」
「俺も好きです、カカシさん」
顔を寄せ合って囁きあう。 とその時、パクリと呆気なくスーツの前が左右に割れた。
「あ…」
「開いた」
ポカンと二人してそれを眺め、呆けること数分。 先に我に返ったのはカカシだった。
「イルカ先生…」
「あっ だ、だめっ」
カカシが徐にイルカの股間に手を入れたので、イルカはビクンと身体を跳ねさせた。
「カカシさん、いやです、先に脱がせて」
「う〜ん、アナタに脱がせてって言われると燃えちゃうけど、今はコッチが先じゃない?」
「あ、いやで… だってそんな、俺動けないのに」
「アンタは動かなくていいよ」
言うなりカカシはパクリとイルカを口に含んだ。
「ああっ」
身体の前の中心線だけパックリ開いたスーツは、だが他の人の介助なしには中の人間は自力で脱げなかった。 その重く丈夫な装甲は、今や唯の拘束具と成り果ててイルカを縛り、下半身を苛むカカシにいいように翻弄させる助け以外の何物でもなくなっている。
「い、う、うん、んんーっ」
張り詰めていたイルカはたいした時間もかからず果てた。 荒く息を吐き放心していると、カカシはどうして知っているのか下半身のスーツだけを腰の少し上の部分から外して、イルカの下穿きを脱がし出す。
「カ、カカシさんっ 上、上を先に脱がしてくださいっ これじゃ手が全然動かない」
「暫らくこのままヤラせてよ。 なんだかすんごくやらしいよ、アンタ」
「やだ、カカシさん、こんなのやだ」
「俺ももう我慢できないんで、今は四の五の言わないでください。 37日ですよ? もう限界…」
「あっ あ、あ」
萎えたモノを更に刺激され、今度は後ろに指まで挿れられた。 ヒクンと身体を戦慄かせて足を突っ張らせると、カカシが太腿を抱え上げてくる。 恥ずかしい恰好に頬を火照らせ、イルカは何とか上半身をスーツから抜こうと頑張ったが、虚しくガチャガチャと音を立てるだけだった。
「ひあっ」
突然冷たいものがチュウっと注がれてきて、腹の中を満たされる。
「や、あ、何?」
「ローション」
「そ、そんな物、どうして?」
「俺が持ってきたの」
「ん、やだ、冷たい、気持ち悪い」
「痛いの嫌でしょ、我慢しな」
「あ、カカシさん、ん、んん」
今日は最初からヤル気で来たと言われているようで、イルカはまた恥ずかしさに身を捩った。 実際はスーツの中で少し動いただけだったが、カカシの指がいきなり何本か纏めて捩じ込まれてきて乱暴に掻き回され、イルカはスーツごと身体を跳ねさせた。
「あ、あ、んっ」
「ああ、久しぶり、この感じ。 早く入りてぇ」
まただ。 また物みたいな言われ方、扱われ方。 あの時と一緒じゃないか。 37日前の晩、縛られて犯られた時の悔しさが蘇り、イルカは堪えきれずに泣き出した。
「カ、カカシさん、お願いです、上、脱がしてください。 こんなのやだ俺、俺…」
「イルカ先生? 泣いてるの?」
「あの時みたいなの、俺いやです。 俺だってアナタに触りたい。 ちゃんと抱き合ってシたいんです、う、うふ」
「イルカ先生!」
ごめん、ごめんね、とカカシが伸び上がってきて顔中にちゅっちゅっとキスの雨を降らせる。 だが指はぐちゅぐちゅとアナルを掻き回し続けているし、自分の前を寛げてごそごそと自身を取り出すと、カカシはそれをぐいっと宛がった。
「でも、一回このままヤラせてね。 だってすんごいエロイんだもん、アンタ。 後でちゃーんと出したげるからね」
「え、あ、や、ああっ」
言うが早いか、カカシは身体を進めてきた。
「ふぅっ 相変わらずきっつい」
「う、うん」
「ちゃんと息してイルカ先生。 動くよ?」
「あ、ま、待って」
「待てない」
「ああっ」
ユサリ、とカカシが突き上げてくる。 喉から飛び出る甲高い悲鳴。 いや喘ぎ声か。 俺の声かこれ。 甘えて強請っているみたいだ。 耳を塞ぎたいけど手が上がらない。 身体が上下にいったりきたりする度に、腰の辺りでスーツの端が素肌を擦る。 痛いほどではないのだが、カカシに縋りつきたくて理由にした。
「か、カカシさん、スーツが、当って、い、痛いんです、ん」
「嘘。 これって結構居住性いいはずだよ? 痛い?」
カカシが動きを収めてイルカの顔を窺ってきた。
「な、なんでそんなこと、アナタが知ってんですか」
「だって俺、ちょっと前にこれの試着したもん」
「え…は、はぁ?」
「上忍でテストしたいってさ、俺んとこ持ってこられてね」
「あ、アナタ、だったんですか」
「そ、だからコレ着て勃起すると辛いって、知ってたんだもんね〜」
「それで…、ず、ずるい!」
「あの夜の俺を思い出して勃起ってくれて嬉しかった、イルカ先生」
「知りませんっ」
「俺は知ってる。 ほら」
「あうっ」
ぐいっと腰を突き込まれ、仰け反って喘ぐとまた律動が始まった。
「あ、あ、ああ、ん」
「イルカ先生、好きですよ。 ああイイ」
もうそれ以上は何も考えることもできずに、熱い飛沫を中に注がれるまで揺さぶられて喘がされた。 ぐったりした身体をやっとスーツから引き出してもらった時、そう言えばこれを上忍がテストした時は口では言えない事態になったとアオイが言っていた事を思い出しカカシに尋ねてみると、カカシはうーんと暫らく考えてから、やっぱり言えません、と答えた。
「でもね、その後、コントロールが暴走しても直ぐアボートする回路が組み込まれたみたいよ」
そう付け加えられて、イルカはもうこの人には全く敵わない、と全てを諦めて全面降伏したのだった。
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