ギター弾きを知りませんか?
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「判りましたか?」
「うーん、わかんないなぁ」
「どうせなら、アイツが起きてる時に抱いてやればよかったのに」
そう言って、イルカは辛そうに体を起こした。
「お疲れの処、余計疲れさせてすみませんでしたね。 お送りしますよ。」
「結構です」
モソモソと身支度を整えると、イルカはゆっくりと立ち上がった。 差し出したカカシの手には見向きもせずに近くの木の幹に縋り、やっと体を支えているイルカの腕を掴んでグイと引く。

「申し訳ありませんけど、もうこれ以上は無理です。 また日を改めて…」
「送るって言ってるんだっ」
語気を強めると、イルカはビクリと竦んだ。
「今判ったよ。 俺が抱いてたのはアンタだ。」
「…」
イルカは何も答えなかった。
イルカの自宅へ連れ帰ろうかとも思ったが、考え直して自分の家へ足を向ける。 イルカは当然抵抗した。 だが、カカシはもう引くつもりはなかった。
「どう? 話す気になった?」
「な、なにも…、はっ 話すことな…か… あ、ああ」
風呂に入れ汚れを落とし、ベッドに連れ込んでまた足を開かせた。 影分身を長く維持し続けていたチャクラ・コントロールの巧みさには関心するが、如何せん無理が過ぎているようで殆どチャクラ欠乏状態の今のイルカには、カカシに逆らう術はなかった。
落ちる意識。 頽れる体。 兵糧丸と同じ効果のある注射を打ち、頬を張って中を突き上げる。 夢と現の間を彷徨いながら、イルカは喘いだ。
港町で会った男は、亡くした恋人がイルカに似ていたのだと言う。 そこから攫った小男のボスは、カイル王子を攫った賊の頭だった男で、その時もイルカを弄んだらしい。 ゴッドファーザーは彼の言った通り、面識のあったのはイルカの父の方で、恐らくそういった関係だったのだろうが、イルカが生まれる前の付き合いだった。 カイル王子は、自分が賊に攫われた時、救出任務で来て交渉のみで一適も流血せずに彼を助けたイルカが、賊のボスに体を要求された次第を知っていた。 知っていて、幼いながらもその事が心の枷になり、転じてイルカへの恋心と摩り替わったらしい。 王は…
「王様… 知らな、ん」
「そう? あの御仁も何か含みがあったけどなぁ」
「知らない、知らない」
「わかったわかった」
話を止めてイルカを鳴かせることに専心する。 イルカの体をこうして味わうのは本当に久しぶりだった。 かつて心を尽くし、身を捧げて愛した人。 こんな風にもっともっとと、イルカの快楽を引き出す事があの頃のカカシの悦びだった。 手放す決心をした時の、引き裂かれるような胸の痛みが蘇り、カカシは振り払うようにイルカの足を肩に担ぎ上げた。
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