Christmas Holly
- rider Santa -
「お、俺の、俺のハーゲンダッツが無いってばよっ!!」
オヤジ~~~ッとナルトが雄叫びを上げている。 帰ってすぐ冷蔵庫を覗くのってどうなの? と自分は問いたい。
「ぼ、僕じゃないよぉ」
「他に誰がいるんだよッ」
「だって、ほんとに僕じゃないもん」
「もんって言うなッ」
まったく、いい大人のくせにかわいこぶりっこしたってダメだってばよ、と更にカッカする。 火に油を注ぐってこういう感じ?とか感慨深く思っていると、ナルトは今度は居間に入るなりまた叫んだ。
「なにこれッ?!」
「なになに、どうかした?」
「な… なんか奇麗くない?」
「ああ、そう言えば」
そうか、彼ら、片付けてってくれたんだ。
「きっとこれは空き巣が入ったに違いないってばよっ」
「なんでそうなるの?」
「あんまり汚ったねぇから不憫に思って片付けてってくれたんじゃねぇの?」
「そんな訳ないでしょ」
だいたい、”不憫”なんて言葉いつ覚えたんだ。 ナマ言っちゃって。
「ん? んん?」
「こ、今度はどうしたの?」
だがナルトの新たな怒りの火種が彼の鼻腔を擽ったらしかった。 クンクンと頻りに鼻を鳴らし、ナルトは自分の部屋まで侵入した。 普段は絶対近付こうとさえしない腐海の森。 シーツだけは変えていってくれたらしい。
「ああーっ これ、イルカ先生の臭いだってばっ!」
「え、ええ、そそそう?」
「なんでイルカ先生の臭いがするんだ? 昨日イルカ先生ウチに来たのか?」
「う、うん、イルカくん帰る電車なくなっちゃってね、部屋貸したんだ。」
「なんでもっと早く言わないんだよ! サッサと帰ればもしかして会えたかもしれねぇのに」
「そ、そうだね、はは、残念、うん」
「ん? 待てよ…これ… カカシ先生の臭いもするってばよっ!!」
なんで判んの?この子。 どういう鼻してるの?
「こんのクソおやじーーっ」
「なななな、なに?」
「あの二人、昨夜ここへ来てたんだな?」
「う、うん、そう、かな」
「ひでぇっ 俺ばっか仲間はずれかよ!」
「ち、違うよ! 僕は昨夜はホールに泊まったんだもん」
「…」
だがナルトは何故かそこで黙った。
「? どしたの? ナルトくん?」
「イルカ先生が食べたんならいいってばよ、諦める」
「?」
「俺のハーゲンダッツ」
「!」
・・・
その言葉を聞いて、朝からどこかオドオドと挙動不審全開だったこの金髪碧眼の義理の父は、頬をぷぅと膨らませその日初めて不満を露にした。
メリィクリスマス、おやじ
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