Christmas Holly



- angel flying -


---恥ずかしいっ

 台所に逃げ込んでイルカは両手で火照る頬を押さえた。 年末の最後のコンサートを昨日終え、取り敢えず一週間ほどのお休みを貰い、久々にカカシと家でまったりとしていたら、クリスマスにお預けになっていたプレゼントの話が再燃していた。 カカシには素晴らしく暖かくて肌触りのいいマフラーを貰っている。 でもイルカは結局今日まで何も用意できなかったので、何がいいか言って欲しいと尋ねてみたのだが、もう貰ったからと訳の判らないことを言って利かなかった。 だから冗談で、じゃあ自分をと、つい言ってしまったのだ。

---目が点だったなぁ

 バカみたいだ、あんなこと言っちゃって。 自信過剰のバカだ。 カカシだってもうちょっとしつこく聞いてやれば何が欲しいか言ってくれたかもしれないのに。 ああ、カカシの顔が見れない。

「逃げるな、俺のプレゼント」

 その時、カカシの声と共に両肩にぐっと重みが掛かった。

「カ、カカシさんっ 俺っ」
「なぁに」
「俺、あの、ちゃんと何か用意しますから」
「もう貰うから」

 あっと言う間に背中から抱きこまれ、カカシの手が服に中に這い込む。

「カ… カカシさん、こ、こんなとこで」
「ここに逃げ込んだってことは、ここでシタイってことじゃなかったの?」
「そ…な、違います、あ、やだ、危ないです、こんなとこじゃ」
「危なくないよ、よく片付いてる」

 あなたのお陰で、と言いながらカカシはねろっと後ろから首筋を舐め上げてきた。 指先が両乳首を同時に摘まみ上げ、くりくりと捏ねる。 背中に密着したカカシの前が硬く形を成し、ぐいぐいと腰に押し当てられた。

「カカシさん、や」
「あれ、俺にくれるんでしょ? イルカ先生」
「あれは」
「冗談なんかじゃないよね? そんな事言われたら俺、傷付いちゃう」
「でも、あ、いや」
「俺にくれるなら、いやって言わないで。 今日一日あなたを貰う」
「…」
「ね」

 イルカは頷いた。

               ・・・

 部屋着用のスエットを穿いていたイルカが抵抗する間もなく、下着ごと膝までズボンを下ろす。 直ぐに前と後ろに指を這わせると、イルカは一声呻いて仰け反った。 だがやはり滑りが足りない。 カカシは目の前のサラダ油の容器に手を伸ばした。 中身を零れるほど手に取りすぐにイルカの後口に塗りたくる。 前への刺激を怠ることなく格段に滑りがよくなった指でアナルを犯すと、イルカはウンウンと声を上げて身体を揺らし始めた。 本人は全然判ってないようだが、こういう所がどんなにいやらしく自分を煽るか。 カカシはイルカの上体を流しの縁に凭れさせて一頻り指でイルカの中を嬲ると、性急に自身をアナルに宛がった。 油の力を借りて抵抗なくずぶずぶと飲み込まれていく自分の太く猛ったモノ。 突然、イヴの晩に先生に言われた言葉が蘇ってきた。

    「あの細い身体に君の一物を受け入れさせて…」

 細い、細いイルカの腰。 肉の薄い尻。 そこに半分ほど突き刺さっている自分のモノ。 物凄いいやらしい光景だと思った。 イルカは小刻みに震えてか細い喘ぎ声を切れ切れに発している。 足首で絡まっているズボン。 胸元まで捲り上げられた上着。 自分に突き出されている尻と背中の一部と自由の利かない両の足だけが肌を露出している部分だったが、全裸の時より数倍艶かしく淫らで、そう言えばこんな風にイタシタことがなかったと思い至った。 カカシは、関節が白く浮き出るほど流しの縁を掴んで震えているイルカの手の指を上から掴むと、最後まで腰を進めた。

「あ… あ、あ…」

 戦慄きながら受け入れるイルカ。 胸全体を鷲掴むように一頻り揉みしだいてから両手でその細腰を掴む。 ゆっくり注挿を開始し、徐々に激しく速く突き上げて、途中途中で腰を回し、ぎりぎりまで引き出しては勢いをつけて突き込み… めちゃくちゃにイルカの中を掻き回した。

「あ、ああっ や、いやぁっ」

 いやと言わないという約束など無かったように、イルカは泣き身悶えた。 辺りを彷徨う手が流しの回りにある調味料類を倒し、それでも拠り所を得られずにまだ彷徨う。 カカシは堪らなくなって後ろからイルカの両手を掴み身体ごと抱きこんだ。 そしてイルカの中を抉りながら耳に囁く。 いやらしく。

「イルカ、いい?」
「や、ああ、あうっ」
「ほらイルカ、ここ、感じるでしょ?」
「う、んん、カカシ、あ、カカシ」
「立ったままスルのって初めてだっけ? ね? ここ見て」
「ん、ん、こ、ここ?」
「そう、ここで俺達愛し合ってる。 今度洗い物する時きっと思い出すよ、俺にこうされたこと」
「や… あ、いや、あ」

 急に激しく中が締まった。 イルカの身体がぶるぶると震えている。 項が朱に染まり、喘ぐごとに顎から汗が滴った。 羞恥と快感がこの身体の中で鬩ぎ合っている、そう思うと、それを与えているのが自分だという意識とともに強烈に愛しさが湧き出でてきて、カカシは震える身体を強く抱き締めたまま、何度も何度も深く抉った。 堪らない快感だった。

               ・・・

 廊下で、ベッドで、浴室で…。 カカシは次々に場所を変えて自分を抱いた。 その度に顎を掴まれ回りを見させられ、どこでどんな風に自分を犯しているか、どんな風に自分が喘ぎ悶えているか、耳に囁かれた。 恥ずかしくて死にそうだった。 だが、それを上回る快感がカカシによって与えられると、その度に自分を失って善がり声を上げ、身悶えてしまった。 所々記憶が飛んでいる。 気が付いた時は、ベッドで組み敷かれていた。 両手の指に指を絡みつかせて顔の脇に縫い付けたまま、カカシはゆっくりと緩く自分を突いていた。 覚醒と同時にその先端が当る場所が如実に意識され、身体が引き攣る。 背が撓り、足が突っ張って、仰け反って喘いでいると、カカシが接吻けてきた。

「イルカ、気がついた?」
「カ…シ」

 声が出なかった。 カカシが身体を揺らす度に顎が上がり、抜けたような吐息の響きが自分の喉から漏れていく。 カカシはその息さえも奪うように激しく接吻けて腰を揺すり出した。

「んんっ んぁ あ、や、あ、ん」

 乾いた喉から叫び声を発するとなんとか声がでるようになったが、喉が痛んで熱くなった。 その喉をカカシの舌に犯される。 下からの突き上げと口中を荒らされる苦しさに全身が引き攣ったように震えたが、両手は押さえつけられ下半身は激しく揺すられて、何一つ自分の自由になる所がなかった。

「うっ ああっ」

 頭の中が白んできた頃、だが上のカカシが口を浮かして呻いた。 何とか目を抉じ開けると、滲んだ視界に逆に固く目を瞑り歯を食い縛るようにして唸りながら、身体を揺するカカシの顔が飛び込んできた。 ああ、カカシの顔だ、と思った瞬間、二度三度とこれでもかと強く突き上げられ、最後にぶるっと震えが走ったのが伝わってくる。 遅れて身体の奥が熱く濡れた。

---カカシが達く顔…!

 イルカは、自分でも激しく胸を上下させながら、初めて見るそのカカシの顔を感動して凝視した。

---なんか、色っぽい

 そう感じた。 もっと見たい。 カカシが自分で感じて快感に呻き、達する顔。 喰い縛られた口元が緩み、うっすらと瞼を開けたカカシと目が合う。 カカシはちょっとびっくりしたような顔をした。

「イルカ、大丈夫?」
「はい」

 ちゅっちゅっと接吻けを贈られながらもイルカは尚もカカシの顔を見つめ続けた。 ずっと見ていたい。

「そんなに見つめて、どうしたの。 もしかして余裕?」

 言うなりまた腰を揺すられて思わず仰け反ると、首に舌を這わされる。 耳を食まれ、中にまで舌を挿し込まれて身体が竦んだ。 するとその途端首筋に顔を埋めたカカシがまた呻いた。

「イルカ、それヤバイから…」

 うう、と呻いていたカカシがズルズルっと自身を引き出して行く。

「あっ ああっ」

 排泄感に更に震えて強張ると、今度は捩じ込むように突き入れられ、ひゅっと喉から声にならない息が漏れた。

「ほら、また元気になっちゃった」

 カカシは緩く注挿を繰り返しながら、鎖骨を、乳首を舌で辿り、完全に自身が硬く猛るまでイルカを愛撫した。 アナルがカカシを嘗め回すように収縮を繰り返すのが、自分では制御できなかった。 快感のみが身体を支配する。 じんわりと広がっていく快楽の波。 突き上げを再開したカカシに、もう目を開けていられなくなったイルカは素直に喘ぎ、涙を零した。 もう顔を見ている余裕はない。 カカシが突く場所から全身に、痺れるような快感がせり上がってきては広がっていく。 好くて、好過ぎて、気が狂いそうだった。

「ああ、カカシィ、ああ」
「いい?」
「イイ、うん、イイ」
「ふふ、やらしい、イルカ。 もっと?」
「うん、もっと、もっとして」

 掠れ声が自分のものではないような気がして、イルカは簡単に恥ずかしい言葉を口にすることができた。 カカシの動きが大きくなる。 首に縋り付いて抱き合いたかったが、手が自由にならなかった。

「俺もイイ… ああ、気持ちいよ」
「カカシ」

 カカシが背に腕を回して抱き締めてきたので、イルカは手を伸ばしてカカシの頬に触れることができた。 頬に、髪に、耳に、指をそろりと這わせて撫で付けると、カカシがさも嬉しそうに笑った。 湧き上がる愛情。

「ああ、イルカっ あんたの中すごい、うねってる」

 カカシが呻く。 嬉しい。 伸び上がってきたカカシと固く抱き締め合い、接吻け合った。 カカシが自分の奥を突き、自分はカカシを噛み締める。

「イルカ」
「カカシ」

 接吻けの合間に呼び合う互いの名前。 ずっとこのままで居たいと、強く強く望んだ。



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