Christmas Holly
- angel lying -
「ほらね」
全裸に毛布だけ巻きつけて、カカシに横抱きに抱えられて台所を見せられた。 ばらばらに倒れた調味料の瓶。 そこここに付いている油の滑りや染み。 イルカは恥ずかしさに顔を染めて、カカシの腕の中で身を捩った。
「下ろしてください。 片付けますから。」
「無理無理」
カカシは笑って取り合わない。
「俺が後でするから。 これだってイルカ先生に見せようと思って態と残しといたんだよ」
意地悪な事を言いながらまた移動していく。 今度は廊下。 観葉植物の鉢が倒れて土が零れていた。
「直してあげないと」
「いいから、ちゃんと見て」
ここであなた回りを掻き毟ってアレを倒したんだよ? 嫌って言わない約束だったのに、いやいやって大声で叫んで、身体を前へ前へ逃がして、それであの鉢を掴んだんだけど…
「も、もう言わないでっ」
イルカは耳を塞いで小さく叫んだ。 なんて意地悪なんだろう。 だがカカシは後ろを振り返って玄関ドアの方を向くと、ポツリと懐かしそうに呟いた。
「ハネムーンしてた頃、玄関であんたを押し倒したことあったよね? 俺、玄関に入る度に思い出すんだ。 ここであんたを泣かせたって」
「カ、カカシさんっ」
あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にして叫ぶと、カカシはニッと笑って、次行こう、と言った。
・・・
「風呂場はあんまり乱れる要素はないな」
残念、と思いながらもそこでもイルカを抱いたのでやはり足を向ける。 シャワーを浴びながら壁に手を付かせて後ろから好き放題やった。 声が響いてイルカは嫌がったっけ。
「シャワー浴びながらヤッタのも初めてだよね? あんた、すっごい色っぽい声で喘いで、その声が風呂中に反響して」
「言わないでったら」
口を押さえられ、詰られる。 顔が真っ赤だ。 かわいいイルカ。 恥ずかしくて堪らないみたいだ。
「今度一人でシャワーする時も、きっと思い出して堪らなくなるよ? 一人で慰めちゃったりして」
「意地悪っ」
胸に顔を押し付けて、ぶるぶる震えて怒っている。 でもまだまだこれからなんだな。
「じゃあ最後ね」
カカシは居間に足を向けた。
・・・
---居間? 居間ではやらなかったと思うんだけど…
記憶が虫食い状態だったので自信がないが、居間でした覚えが全く無い。 最初、二人で居間で話していたのだ。 それで台所に逃げ込んで、廊下へ連れ出され組み敷かれ、ベッドで泣かされ、シャワーに打たれながら叫ばされ…、気が付いたらまたベッドだった。 入った居間は、やはりどこも乱れた所は無かった。
「カカシさん?」
「うん、ここでヤルの忘れたんだ」
「…え」
嫌な予感が背筋を走った。
「ま、まさか…」
「ここでやらなきゃ、ね?」
「い、いや、も」
渾身の力を出して暴れるが、途端に背中が痛みで引き攣り、イルカは落とされたソファにそのまま沈んだ。
「い、痛っ」
「身体、しんどい?」
「は、はい、絶対無理、ですから、あっ」
だが訴え虚しく引っ繰り返された身体の上に、カカシがすぐに圧し掛かってきた。
「だいじょぶ、ほらこれいっぱい付けてあげるから」
それは少し麻酔効果があると言う潤滑ゼリーだった。 カカシは麻酔効果だけだ、と言うが、イルカには他の作用もあるように思えて、最初に使われて以来それを拒否してきたのだが…
「それ、やです」
「なんで?」
「だって、それ使うと俺」
「なぁに?」
にやりと笑うカカシの顔が、やはりその手の興奮剤の混入を匂わせている。
「や、いやっ」
カカシを押し退けて逃げようと身体を捩る。 もう背中が痛いだなどと言ってはいられなかった。 カカシは使うと言ったら使う。 普段は嫌がる事を無理強いしてきたりはしないのだが、イルカのスケジュールに余裕があると見ると、時々とんでもないいやらしい事をされた。
「逃げちゃだーめ、俺のプレゼント」
「もう、もうプレゼントは昨日で終りっ」
「なに言ってるの? 休み中ずっとあんたを抱くよ?俺」
「そんなの無理っ」
「無理じゃない、これがあるから」
ピンク色で気泡が混ざった透明なゼリーをプルンと手に取り、カカシはイルカの毛布を引き剥がした。
・・・
逃げる身体を押さえつけ、ソファの上でイルカを抱いた。 まず下に組み敷いて散々突き荒らすと、ゼリーの効果か、イルカは最初こそ痛がって泣いたが、直ぐに色っぽい声で喘ぎ出した。 イルカの前も、ゼリーを塗りたくって扱く。 いつもは何回も続かないイルカだったが、自分の手の中でふるふると震えて涙を零し続けている。 今は自分がソファに凭れ、イルカを串刺したまま上に載せていた。 背中から抱き締めて、右手でイルカ自身を握り、左手は乳首や脇腹のイルカの弱い所を愛撫する。 両足は大きく開かせ自分の膝に掛けて固定し、時折下から突き上げてやると、イルカはかわいい声であんあん鳴いた。
「あ、んん、達く、イッちゃうっ」
「イキな」
何度目かの絶頂に身体を痙攣させ、白濁もない汁を零すイルカ。 すごい淫らだ。 中がきゅうっと締まって自分を締め付けてくる。
「ああ、気持ちぃ、最高」
「うん、も、や」
「まだだよ、俺達ってないもん」
「ああっ や、やぁっ」
達したばかりのイルカを意地悪く扱くと、イルカは上半身をガクガクさせて悶えた。
「も、許してぇ」
随分前からそう請われていたが、カカシはまだまだ許すつもりはなかった。
「まだだーめ、だってあんたまだ達けそうだよ?」
達しても萎えないイルカを扱く。 ああ、ああと泣いてイルカは身悶えた。 また少しゼリーを掬い、結合箇所とイルカ自身に塗り込める。 自分自身にももちろん付くので、カカシも全く萎えなかった。
「もうやだ、それ、もう付けないで、やだぁ」
「イルカ、かわいい」
びくびくと中を締め付け、アナル全体を収縮させながら言われても、嫌そうには聞こえない。 ぬるりと前を扱くと、肩に顔を仰け反らせて喘ぐ。 乳首を弾くと、身体を捩って善がり声を上げる。 初めて見る壮絶に色っぽいイルカの痴態だった。 ああ、このままずっと繋がっていたい、そう思った時、ピンポンとチャイムが鳴った。
・・・
「だ、誰か…来た…?」
「うん」
「カカシさん」
「なに?」
「誰か来た」
「それが?」
「あ、や、ああっ」
信じられない。 今まで時折緩く突き上げては自分を嬲っていたカカシだったが、急に激しく下からズンズンと突き上げてきた。
「や、だめっ 声、出ちゃう」
「大丈夫、聞こえやしないよ」
「あ、で、でも、んん」
揺れでカカシの足に掛けられていた膝が落ちると、カカシは腿を抱え上げてイルカの全身を上下させ出した。 激しい摩擦と突き上げに、イルカは我を失くして絶叫していた。
「ああああっ あああああっ」
「イルカッ、イルカッ」
ずりっと好い所を擦り上げられた瞬間、イルカはまた前を弾けさせた。 それでもまだガクガクと身体が揺すられ、闇雲に両手で宙を掻き毟ると、床に下ろされ腰を掴み上げられて、ガンガンと後ろからカカシが腰を叩きつけてくる。 パンパンと尻を打つ音と自分の叫び声が家中に響き亘った。
「んッ んんーッ や、いやぁッ ああッ」
時折ぐるりと腰が回され中を広げるように掻き回されると、もう何が何だか判らない程好くて、だが頭のどこかで玄関の外に人が居るという認識が引っ掛かっており、両極に思考が引き裂かれる感じに脳がショートした。
「ああ、カカシィッ」
「なに、イルカ」
「イイッ もっと、もっとぉ」
くくっと後ろでカカシが笑った気がした。 覚えているのはそこまでだった。
・・・
「怒ってる?」
「…」
「何か言って? イルカ先生」
「やですッ」
ベッドで水を口移しに与えられながら言うことじゃないな、とカカシは思った。 イルカはぐにゃぐにゃだった。 熱い湯に二人で浸かり、身体を奇麗に洗って中に吐き出したモノも自分が掻き出した。 それも嫌がって怒ったのだが、動けないのでどうしようもないようだった。 イルカは怒ると格別にかわいかった。 また抱きたくなるほどだ。
「かわいい、イルカ先生」
思わずそう言って首筋にちゅっと接吻けると、イルカはびくっとして恐る恐るやっとこちらを見上げてきた。
「も、もうできないです」
涙目でふるふるされると俄然ヤル気になるのが判んないのかな、この人は。
「うーん、どうしよっかなー」
意地悪く顎に手をやって迷う振りをすると、イルカは必死な風で手を伸ばしてくる。 だからその手を握ってちゅっと接吻けると、またビクっとするのが小動物にようで、苛めたくて仕方がなくなるのだ。
「カカシさん、カカシさん」
必死なイルカ。
「俺、俺、明日なら…」
もう許してやろう、そう思ったのに、イルカの方が折れて妥協案を提示してきてくれた。 それも随分甘いヤツ。
「ふーん、明日なら抱いていいの?」
うんうんと頷くイルカ。 今すぐまた組み敷かれると思ったのだろうか。 さすがに俺もそこまで鬼じゃないよ?
「判った、じゃあ今日はもう諦めてあげる」
「はい」
素直な返事にほっと緩む表情、剰えニコリと嬉しそうに笑われれば、かわいくてもう何でも許したくなった。 だが次の言葉を聞いて気が変わる。 この人、ほんとに男心ってものを理解してない。 自分も男のくせにねぇ。
「あ、でも、あのジェルを使うのはもう嫌です」
ね、カカシさん?と小首を傾げられ、カカシは「はいはい」と生返事をしたが、内心では使う気満々になったのだった。
・・・
今まで、年末年始休みをこれ程長いと思った事はなかった。 カカシは毎日の半分は自分を抱いて過ごした。 よくそんなに体力と精力が続くな、と最後には感心しきりだった。 薬は嫌だと言えば言うほど、カカシはどこからか色々取り出してきては自分に試した。 一度など食事に何やら混ぜられて、身体の芯から湧き上がる衝動に完全に我を失ってしまった。 朦朧としながらカカシを求め、淫らな言葉を吐き、身悶えて腰を振っていたらしい。 後からご丁寧に教えられた。
「俺は、あなた相手だったら幾らでも勃起するよ」
カカシは露骨なことを真顔で言った。
「でもね、一番ぞくぞくってする瞬間はね、あなたに「もっと」って言われる時だよ」
求める気持ち。 求められたい希。 その両方とも有り余るほどあるんだけどな。 自分はちょっと羞恥心が強すぎるんだろうかと、その時思ったものだ。
カカシのお陰で、この家のあちこちに恥ずかしい思い出の場所ができてしまった。 カカシの言う通り、これからそこに行く度に、使う度に、カカシと愛し合った事を思い出すのだろう。 でも、カカシがそれを愛おしいと感じるのと同様に、自分もそれらの思い出を愛おしいと思う。 これからは、時々は「もっと」と言ってあげようと思った。
でも休みの前の日だけ。
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