カカシ20景



05:イチャイチャシリーズ



 カカシは戦場に残ったが、イルカは里へ帰還した。 イルカの居た隊で生還できたのはイルカを含めてほんの数人で、新人中忍ではイルカ以外で生き残った者は居なかった。 皮肉な事に、その事が仲間や隊長達の死に悄然と肩を落とす本人の意思を余所に、イルカの評価を高めた。 火影からもよく生きて還ったと褒められたが、喜ぶことはできなかった。 イルカは、自分が戦忍には適していないことを痛感していた。 もしかしたら、忍そのものに向いていないのかもしれないとさえ思い悩み、このままやっていく自信も失くしていた。 だが、前のように火影に縋って悩みを打ち明けることもできなかった。 仲間に”火影の稚児”と言われたショックが二の足を踏ませ、その上に、男に抱かれていたことや自分がそれを拒まず寧ろ望んでいたことを後ろめたく感じて、その事を火影に指摘されるのではないかと恐れた。 きっとどこからか火影の耳に入っているに違いない。 もう拘わるな、忘れろと言われるだろう。 でもイルカはカカシを忘れることなどできなかった。 カカシに会いたい。 ただそれだけで、イルカは戦場に拘った。 向いていないと悩みながらも、今度は生きて還れないかもしれないと怯えながらも、それでも戦場に帰りたかった。 傷が癒えたら復帰願いを出そう。 そう思い詰めていた。

               ・・・

「戦場での忍の最大の弱点は何か、判るか?」

 外地に出す前から優しいイルカに戦場は無理だと判っていた火影だったが、対外的な体裁やイルカ自身の経験値を補うためにと、心を鬼にして外地に出した。 それがこの有様で、よく生還してきてくれたものだと手放しで喜んだのも束の間、イルカはまた戦場に行きたいと言い出だして聞かなかった。

「圧倒的な物量と人海戦術の前には、手も足も出ないことです」
「その通りじゃ」

 さすがに死地を乗り越えて還っただけあって、イルカが本質をしっかりと見極めていると判り、火影は心から喜んだ。 はっきり言ってイルカのことは目に入れても痛くない。 かわいくてかわいくて仕方がない。 小さい頃はヤンチャの悪戯小僧だったが、両親を亡くして以来、イルカはイルカなりに頑張って中忍にまでなった。 チャクラや筋力その他総合的に正しく評価すれば、上忍になれる資質は持ち合わせてはいないと認めざるを得なかったが、寧ろその方が好都合だとさえ思っていた。 危険な真似はさせず、ずっと手元に置きたい。 元々闘うには優しすぎる性格なのだから、戦になど行かせず教職でも取らせて里で過ごさせたい。 だが、その教職さえある程度の経験値を必要としていた。 今回自力で生還した事実はかなりイルカの評価を高めたが、それでも経験不足を埋めるまでには至っていない。 このままゴリ押しをしてイルカを手元に止めても、周囲のイルカに対する風当たりが強くなるばかりか、当のイルカ本人からも過保護すぎると言われて敬遠されそうで、ちょっと悲しい老人だった。 そうは言っても、還ったばかりですぐまた戦場など行かずとも、地道に細かな任務経験を積んでいくという選択肢もある。 戦場で戦うばかりが忍の仕事ではないだろう。 そんな風に急いで将来を決めてしまわないで、もっと自分に合った道を模索するべきではないか。 そう説きたかった。

「忍とて数に頼れたならどれほど楽かしれない。 だが、忍の里には素質の有る者ばかりが集められているとは言え、絶対数が足り無すぎる。 また、才能を引き出し延ばし育て上げるには、長い時間と手間がかかる。 故に忍は少数精鋭を宗とし、個人技を磨き、術や忍具・トラップ・薬物などの知識を身に付け、少数部隊での連携プレーを鍛錬する。 それが忍の有り様で、普通の兵の有り様とは厳然と異なるからだ。 忍は忍の有るべき場所に居り、するべき仕事をすればよい。 一般兵卒の仕事はヤツラに任せておけばいいのだ。」
「はい」
「して、オマエにはそのような後進の手助けとなる気はないのか?」
「後進の手助け?」
「アカデミーで教師となる気はないのか、と問うておるのじゃ。 重要な仕事じゃぞ」
「教師…」

 俯き考え込むイルカの顔付を窺いながら、その表情に今までに無い変化を見出し、まんざらでもなさそうだと胸を撫で下ろす。 これまでは「戦場に戻る」の一点張りで取り付く島もなかったのだ。

「でも」

 もう一押しじゃ、と畳みかけようと口を開きかけた時、イルカに機先を制された。

「それでも俺には経験が足りなさ過ぎます。 もう一度外地に出してください。 今度はもっと」
「イルカ」

 名を呼んで言葉を遮り、いつもの繰り返しになりそうな気配に溜息を吐く。

「なぜそこまで戦場に拘るのじゃ」
「俺…」

 いつもそこで口を閉ざしてしまうイルカ。 話してくれないことには力にもなれないではないか。 前は何でも相談してくれたのに、戦場から帰還して以来、妙に大人びてしまって寂しいことこの上ない。 それに…。
 実はイルカについて良くない噂が囁かれていた。 イルカの居た部隊が戦線に吸収される直前に配属され、不良行為ですぐさま送還されてきた新人上忍が、生還したイルカの評価に悶着を付けてきたのだった。 イルカが暗部に体を使って取り入り特別扱いをされていた、今回生き延びられたのもきっとその暗部に守ってもらっていたのに違いない、というものだった。 その上忍の評価が頗る低く、申し立てている内容にも信憑性が無いと取り合わなかったのだが、腹立ち紛れにあちこちで吹聴したらしく、そんな噂になってしまった。 それに、密かに探らせたところによると、暗部の性欲処理にイルカが使われていたというのは本当らしかった。 なんとかわいそうに! どこのどいつだ、儂のかわいいイルカに手など出しおってまったく、見つけ出したら唯おかん、と怒り狂った火影だったが、その相手がカカシだったらしいと知って複雑な思いに囚われた。 カカシとイルカ。 その出自も才能もまるで違う二人だが、似たような境遇がその内面に培わせたモノは恐らく同質だろう。 寂しい魂と寂しい魂。 出会ってしまえば惹かれあう結果となるのは止めようがないのではないかと、容易に想像できた。
 それに、例えイルカがカカシとそんな関係になっていたのだとしても、それがイルカから取り入っての結果とは到底思えない。 きっとあのカカシに手篭めにでもされたに違いない。 カカシめ、奴に慰安が必要なのは重々承知していたが、イルカだけはやらんイルカは別じゃっ まぁそれは置いておくとしてとにかく、噂のようにイルカが体を使って男に取り入るなど考えられないし、ましてやあの隊の隊長をよく知っていた自分としては、そんなことでイルカが特別扱いされていたとは信じ難い。 イルカは皆と同じ任務を粉していたはずだ。 暗部の部隊長からもカカシが持ち場を離れたり命令違反をしたという報告は来ていない。 そうだ、そんなことは有り得ないのだ。 カカシは、命令遵守に異常に拘る人間なのだ。 それなのに、多忙且不定期な任務の合間を縫うようにして二人が逢瀬を続けていたとすれば、それは…

「俺、どうしてももう一回会いたい人が居るんです」
「…」

 逡巡した挙句、最早こちらから話を振ってみようかと思い始めた時、意を決したように居住いを正すイルカに火影は目を見開いた。 ついにイルカが真の胸の内を明かそうとしていた。

               ・・・

 それはまるで、荷物がひとりでにピョンピョンと崖を登り、樹上を飛び、路を走っているようだと、見た者は口を揃えた。 おつかいイルカ。 おつかい中忍。 イルカの二つ名は三度変わった。



「あの、俺… す、す、好きな人ができて、あの…」
「好きな人?!」

 火影の上げた素っ頓狂な声にビクっと怯みながらも、イルカはここで挫けてはならじと恐々火影に目を向けた。 自分に対しては好々爺以外の何者でもない火影三代目その人は、名実共に今の自分の保護者であり先生であり人生の先輩であったが、やはり木の葉の里の長であることが一番だった。 自分なんかに好きな人ができたくらいで、そんなに狼狽えるなんて思いもよらなかった。 否、狼狽えるどころではない。 放心状態と言っていい。 驚天動地の出来事に見舞われ心失してしまったと言っても過言ではない驚きよう。

「あ、あの…火影さま?」
「…イルカや…」

 心配で顔を覗きこむと、そう言ったきり既にイルカより幾分低い背を伸ばすようにしてイルカの体を抱き寄せ抱き締め、ただよしよしと頭を撫でられる。 イルカは最初硬直してそれを受けていたが、やがて自分もヒシとしがみついて涙ぐんだ。 心配させた。 今も心配してくれている。 ただただ、心配してくれている。

「ごめんなさい、火影さま」

 イルカは初めから全部話した。 やはりと言うべきか、既に粗方の事情を知っているらしい火影からはくどくどと説教をされたが、それはまるで知らぬうちに彼氏ができた娘に対する父親のそれで、イルカはおとなしく頭を垂れて聞くしかなかった。

「想い人に会いたいがばかりに戦場に戻りたいというオマエの気持ちは、残念じゃがオマエの力量を考えると相手に迷惑なだけじゃとはお思わぬか?」
「でもっ でも、だからと言ってこのままじゃ何時まで経っても追いつけない。 いえ、追いつくなんてぜんっぜん無理だって判ってます。 それでも、側に居て自分の身は自分で守れるくらいにはなって、それこそ迷惑かけないようにしたいんです。 俺、今回戦場に出てみてはっきり判りました。 やっぱり全然違う。 俺は逃げ帰るだけで精いっぱいだった。 こんなんじゃ駄目だって、判ったんです。 お願いです、火影さま。 俺は自分の力で生き抜いて、あの人の側に居たいんです。 それにはもっと強くならなきゃならないんです。」
「強くなってアヤツと共に戦場を駆けたいと申すのか?」
「はいっ」
「共に駆けるばかりでなく、戦場で相手を殺せるのか? 敵忍も、ただの一般兵も、必要なら女子供も殺せるか?」



「あの暗部で上忍で写輪眼のカカシと



「戦闘に特化した才能ばかりが戦場に必要な訳ではない。 地の利を生かし闘い、隠密行動をし、敵を撹乱する能力こそが、本来忍に要求されるべき能力じゃ。 それには情報を収集・処理する能力と、それを活かす能力、即ち情報戦を勝ち抜く力が必要なのだが、オマエは何よりあの悲惨な戦場から生きて還れた。 それが意味することがオマエは判っておるか?」
「俺…逃げ隠れだけは上手いから…」
「忍が逃げ隠れが上手くて何が悪い?! 基本ではないか! オマエには強大なチャクラは無いが全く無いわけではない。 体も特別頑強な訳でも素早い訳でもないが、あらかたの体術と武器の使い方を心得ておる。 加えて弾薬・トラップ・薬物にも精通しているし、気配を消す事も上忍並みじゃ。 つまり高い総合力がオマエには備わっておるのじゃ。 これは血継限界にも劣らぬ誇ってよい才能じゃぞ?」
「でも俺は、逃げ帰ってきただけで」
「あのような戦場では、正しい状況判断と臨機応変な対応能力が無ければ上忍でも死ぬのじゃ」
「………はい」

 そうだ、正しく状況判断し適切に対応して将来の見込みの薄い下忍など見捨てていれば、あの隊長も死ぬことはなかったはずだ。 やはり自分のような忍は戦場に居るべきではないのだろうか。 しかも、自分が戦場に拘る第一の理由はただの”恋情”なのだ。 なんて罪深い。

 色々論い持ち上げようとしてくれる火影の勢いに驚くとともに、己の身勝手さを思い知り放心するイルカのまだ幼さの残る顔と仕草に火影がどんなに心を和らげ、同時に酷く懸念を抱いたかを知らず、眉尻を下げ幾分声を和らげて教え諭すように言葉を繋げる火影の老いた顔の皺に見入りながら、イルカは思った。 俺、このままでいいのかな?

「オマエはその才能を伸ばし活かす道を選ぶべきじゃ。 一つ所に留まっていたのでは、如何な戦場と言えども情報戦に必要な情報収集には役立たん。 判るな? オマエはもっとあちこちで色々な人に会ったり話を聞いたりするような」
「なら俺、あちこちのキャンプに物資供給する仕事がしたいです!」
「そ、それは…」
「それなら火影さまの仰る通り、戦場にずっと留まる訳じゃありませんし、道中で情報も集められるし」
「だがなイルカや、結局敵の狙う中を行き来するようなことに」
「それに、いつかきっとまたあの人に会えますよね!」
「暗部の任務先は明かせんぞ!」
「だから尚更、自分で探さなきゃ!」
「イルカや〜」

 こうして火影は折れた。 イルカ、16の冬。 やっと自分の行く道を見つけ、生来の猪突猛進さで火影を説得してしまい、新たな仕事にやる気と希望を取り戻した瞬間だった。





 その上で色々話し合った末に、物資配達の任務に就いてはどうかということになったのだった。 火影としてはイルカが戦場に留まることだけは決して許せないという態度を崩さなかったし、イルカとしては毎日でなくともカカシに会える機会が得られれば重畳だった。








               ・・・

 戦場に居る部隊に物資や情報を輸送・伝達する仕事、それがイルカの新しい任務となった。 単独で請け負う仕事。 華奢な体がすっかり隠れてしまうほどの大荷物を背負い、遠路を駆け、それを敵に奪われることなく、また敵に部隊の位置を知られることなく届けなければならない、地味だが決して難易度は低くない重要な仕事だった。 でも、とイルカは思った。 逃げ隠れは得意なのだ。 俺にうってつけじゃないか。 それに、チャクラで荷の重心コントロールをしたり、敵に見つからないように樹上を飛んだり岩場を降りたり、結構な修行にもなった。 そしてあちらの部隊こちらの部隊と渡り歩く度に、通り道の植生や鉱物の調査をしたり、人の噂話に耳を傾けたりとその地その地での情報収集を怠らなかった。 情報戦、おまえにはそれが向いていると火影は言ってくれたが、お墨付きを貰ったのだと他人に胸を張ることはできなかったし、この仕事を選んだ最大の動機は多分に不純で、それが恥ずかしくて、だけれども自分の中での優先順位は厳然としてカカシに再会することであったので、そんな浅はかな目的を見方の忍衆にも覚られぬよう暗部の情報も密かに探りながら、ただひたすらあちらの戦場からこちらの戦場と荷を運び続けた。 いつかカカシに会える、それだけを心の拠り所にして。


★★★付箋文★★★


 それは、カカシと分かれてから3ヶ月ほど経った頃だった



 だが、なかなかカカシには会えなかった。 仕事も、きつい割りには余り感謝されない事が多かったし、名前も覚えてもらえなかった。 皆ただ、”おつかい中忍”とイルカを呼んだ。 ”暗部のお手付き”や”暗部の女”よりも随分マシだったのでイルカはなんとも思わなかったが、火影は酷く気にして何度もイルカに翻意を促すほどだった。 とにかく戦場に近づけたくない様子の火影の意には副えなかったが、イルカ自身はこの仕事を気に入り、熱心に勤しんだ。



 それなので、カカシの所在を尋ねるどころか言伝を頼むなんて事も論外だった。 だが、最初の裡は”おつかい中忍君”としか認識してくれなかった戦忍達も、イルカが2度3度と訪れるようになると徐々に態度を変えた。

「3度同じヤツが来たのって初めてじゃないか?」
「そうなんですか?」

 頭をグリグリと撫で繰り回されながら言われて、それがそんなに不思議なのかな?と訝しく返事をすると、その上忍はそれに関しては何も答えてはくれなかったが「次も必ずオマエが来い」と言ってくれた。 そうやって段々可愛がられるようになり、色々な情報なども教えてもらえるようになっていった。 だが、カカシには会えなかった。 暗部。 それは想像以上に厚い壁だった。 聞いて教えてもらえるような存在ではない。 偶然に頼るしか無いのだろうか、と途方に暮れかけていた時、天から手が差し延べられてイルカを押した。


「あの、この荷物の引き取り手をご存知じゃありませんか?」

 その部隊にはもう何度か行っていたので懇意の上忍も多く、イルカは一つだけ残ってしまった包みを持って聞いて回っていた。
 荷物には発注した本人の名前などは記されていない。 本人か極親しい仲間にしか判らない印が付いているだけだった。 運び手のイルカにも知らされていない。 途中で敵に奪われたり、拉致され口を割らされたりする可能性を考慮すれば当然の配慮なのだが、このように引き取り手が不在の場合は困ってしまう。 置いていく訳にもいかず、預かってくれる人も居ない時は持ち帰り、後日運び直すこともしばしばだった。

「どれどれ」
「あ、アスマさん」

 その堅が大きく顎髭も男らしい上忍は、いつも口から煙草を離さないような忍としてどうかと思うような所もあったが、イルカにとても親しく接してくれる一人だった。 イルカはほっとしてその荷を渡して見せた。 四角い2センチほどの厚さの包みで、何かの本かと思われた。

「本だと思うんですよね。 心当たりありませんか?」

 急ぎの資料だったら持ち帰られるとお困りになるでしょうし、と首を傾げてアスマの手元を一緒に覗き込む。 丁度裏を返して本人の印を見ているところだった。

「へのへのもへじ、って誰なんでしょうね? 前にも一度…」
「こりゃあカカシのだ」
「え?!」

 心臓が止まりそうになるとはこの事だと、イルカは後からもこの瞬間の驚愕と感激を何度も思い返すほど驚いた。

「カ、カ、カカシ? カカシって、あの」
「なんだ知り合いか? おーい、カカシーっ」
「え? え、え? い、いらっしゃるんですか? 今? ここに?」
「居なきゃ困るのオマエだろう?」
「そそそそ、そうなんですけど」

 心の準備が〜〜っ
 いったい何ヶ月ぶりだろう?
 3ヶ月? いやもっと?

「ア、アスマさん、あの、俺」
「おーい、カカシーっ カカシーっ 荷物だぞーっ」

 ちょっと待ってくださいってばアスマさん、俺にも心の準備というものがですね、なんだそりゃ、みたいな会話を交わしていると、近くの木の枝から何かがドサリと落ちてきた。 葉っぱ塗れの塊が腰を擦り擦りむくりと起き上がりその場で硬直してこちらを凝視する。

「イ………イルカ?」
「カカシ…」

 だが会ってしまえば好き合うふたり。 同時に走りより、顔を確かめ合い、ヒシと抱き締め合うのも致し方ない。 回りで大勢が見ていようとも、ひゅーひゅーと囃されようとも、ふたりの世界。 キス・シーンまでサービスしてしまったのは火影には絶対の絶対に内緒だ。
 その後すぐにテントに引っ張って行かれて抱き合った。 何ヶ月ぶりかのセックス。 余裕無く性急に求めてくるカカシに、忘れられていなかった!と感動しながらも、引き裂かれる痛みに涙と嬌声を零して余計にカカシを煽る結果となった。 帰還予定が3日ほど遅れ、内緒のはずの再会劇はとっくにヤキモキと心配する火影の耳にするところとなっているのも知らず、ドロドロに溶け合うかと思うほど求め合い、愛し合った。
 イルカ、17の誕生日を目前にした春だった。



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