When in KABUKICHO, do as the KABUKICHO-MEN do.



 女房に逃げられ青天の霹靂(周囲はやっぱりな)なルシウス・モデストゥス。 なんやかんやあってとうとうハドリアヌス帝の寝所に呼ばれてしまい、あれやこれやで抵抗空しくベッドイン。 しかし皇帝陛下、ルシウスが掘られるのはお初だということを差し引いても、どんなに贔屓目に見繕ってもHがドヘタ。 案外アンティノーがナイルで溺死したのも逃げたかったからじゃないの?的な痛さであった。

「あ、あ、う、い、あ」(う〜っ いででで、このテク無しめ〜っ)
「かわいいのー、ええのー若い肌は。 それ、ここがいいか、ここか!」
「あ、や、そ、そこは、あ」(ただズッコンズッコンやってりゃいいてもんじゃねぇだろー!)
「ここか、ここがええのんか?」
「へ、陛下…、も、もう、無理でございます〜」(だから違うってっ もーかんべんしてーーっ 泣)
「なんの、本当は好いのであろう? この好き者め、ほれほれ!」

 しかも自分がヘタだと自覚無し。 最悪である。
 だが、そんなルシウスにいつもの救いの手がやってきた! 事後、風呂で熱い湯にでも浸かれば少しは痛みも和らぐかと入浴を請えばこの皇帝、ルシウスを軽々と抱き上げて自分も一緒にザブンと飛び込んだ。 そしてあの瞬間が!

「なに?! なんだこの渦は?!」
「へ、陛下〜〜っ 危険です、お放しをー」(やった、これで逃げられるぞ!)

 だが、ああ無情。 未知への渦はルシウスの期待を余所に二人ともを飲み込んだ。

「な、なんじゃ、ここは?」

 いつものようにザバンとお湯から顔を出せばそこは…

『キャーッ、なんか出てきたわーッ』
『外人さんよー、しかも二人も! それになんかとっても美味しそう…うふv』

 そこにはいつもの”平たい顔族”の男が二人、風呂の洗い場と思しき場所でキャッキャッと仲良く互いを洗いっこしていた。 先日来た小さな個人用風呂か?と思ったが、それよりは幾分広めの、男二人が悠々浸かれる湯船であった。 だがそれにしてはどこもかしこもショッキング・ピンクだ。 そして平たい顔族の男もなんだかいつもの彼らと違う。

「おおっ なんと素晴らしいテルマエだ! こちら側の壁が皆透き通っておるぞ、ルシウス。 それに見よ、こちら側の壁の美しい色! バルカンの薔薇のようだ。 む? この湯はなんじゃ? 白く濁っておるが…」

 くんくんと匂う皇帝。 硫黄の匂いでもない、かと言って牛の乳の匂いでもない。 いったいこれは…。 ルシウスも手で掬って半透明の湯を嗅ぐが、成分は相変わらず判らない。 尚も顔を近付けて観察していると、平たい顔族の男の一人が何かの容器を差し出してきた。

『やーね、あなた達、入浴剤も知らないの〜?』
『外国には入浴剤、無いのかしら』
『バカね、外国はシャワーよシャワー』
『あら、泡風呂でしょ〜』

 なにやらクネクネと女のように品を作りつつ、女のような甲高い声音で喋りを続ける平たい顔族の男達を余所に、ルシウスは受け取った容器を開けてみた。 相変わらず素材が判らない、しかも高度な技術力を感じさせる美しい曲線を描くボディの瓶のような入れ物には、白くトロっとした液体が入っていた。 いったい何でできているのだろう?

「なんじゃ、それは。 いい匂いがするな。」
「はっ これがこの湯の白濁と香りの素のようです」
「この湯に浸かっていると、なにやら肌がしっとりスベスベになっておるぞ」
「む、本当だ!」
「ルシウス、これと同じ物を世のために作れ! ローマの人々にも分け与えよ!」
「ははっ」(軽く言ってくれるなよな〜 汗)
「どれ、もうちょっと入れてみよう」

 ルシウスから容器を取り上げ、ドボドボと湯に注ぐ皇帝。

『きゃっ 何やってんのよー、あんた達ぃ。 それお高いのよ〜』
『もー、返して』
「あ」

 あっと言う間に皇帝の手から物を取り上げる平たい顔族の男。 なんと不敬な!

「ルシウス、あれを取り戻せ! 持って帰るのじゃっ」
「はっ」

 は、とは言ったもののこの平たい顔族の男達。 女っぽい態度とは裏腹に意外とガタイはいいのであった。

「こら、それを返せっ 一旦陛下に捧げられた物を陛下に断りなく取るとは、なんという、こらっ」
『いや〜ん、この人掴みかかってくる〜』
『ほらほら、取ってごらんなさーい』
「こらっ こ、わわっ」

 またしてもキャッキャッとはしゃぐ平たい顔族の男達に弄ばれるが如く、湯の中をあちらにこちらに右往左往していると、バシャンと転んでしまう。 が、すぐムンズと逞しい手で二の腕を掴まれ引き起こされ、立たされた。

「ゲホッ ゴホッゴホッ」
『やーん、ちょっとだいじょーぶー?』
『あらやだ…ちょっとこの子ったら……』
『なになに、どーしたのー』
『オケツから血が出てるわ』
『あら…ほんと』

 太っとい指で尻の狭間をぐいと拭われ、ピリリとした痛みに顔を顰めれば、彼らの雰囲気が急に変わった。

『おい、そこのオッサン。 この子、アンタのコレなんだろ?』

 親指でクイとルシウスを差し、またしても不敬ながら人差し指で皇帝を差し、最後に何の合図か小指を立てて顎でまたルシウスをしゃくる。 何だか声も3オクターブくらい低い。 言葉は判らないが、なんとなく、「コイツはオマエの愛人なんだろ」的な表現をジェスチャしてるんじゃないのみたいなことと、彼らが何故か酷く怒っているらしいということが伝わってきた。

『自分のハニーにこんな痛い思いさせてんじゃねぇよ、オッサン! え? おい』

 なんか判らんが凄んでいる。 凄まれている。 陛下、陛下をお守りせねば!

「陛下! お下がりくださ、きゃんっ」

 皇帝陛下の前で両手を広げて彼らを遠ざけようとしたつもりだったルシウスだが、またしてもゴッツイ手でガシっと両側から肩を掴まれると、今度はもう一人が何やら滑るモノを纏った掌で尻を撫で上げてきた。

「オマエ達! 世のルシウスになにを!」
『黙って見てろいっ この暴れん坊将軍めっ』(本当は5賢帝の一人なのだが)
『こういう時はまず、愛撫だろう、あーん? こうやって愛を籠めて全体をやさーしくな…』
「痛っ あ、や、やんっ」

 一頻り尻たぶを交互に揉まれた後、指が一本挿入される。 最初は痛かったはずなのに、滑る指は抵抗なくアナルの入り口付近を行ったり来たりし、時折中で折り曲げられ、襞を伸ばすように中を押してきた。 なんだか変な声が出てしまう。 何故なら気持ち悦かったから…

「あ、は、はんっ あん、やぁ、あはんv」

 もう止まらない。

『ほら、悦がってるだろう? こうやってー、ゆっくり広げてやるんだよ』

 指がふ、増えた!

『そうそ、それからイイとこも押してあげないとねー』
「やんっ あ、ああ〜んv」

 なんだか何かに目覚めてしまいそう…

「む? ルシウス、気持ちいいのか? 世の時とは全然…」
『前も忘れちゃダメよね〜』
「あ、そ、それはぁ、はっ あっ ああーっ」

 もう、だ、だ、だ…

「ルシウス! ソナタ乳首が感じるのか? 悦がっておるのか?!」
『ほーら立派に勃ってきたわ〜、うん、おいしそv』
『舐めちゃう?』
『舐めちゃいましょv』
「は? はっ! あは〜〜〜んっvvv」

 だめ〜〜〜んんんvvv

「ル…ルシウス……」

 二人の声音もいつの間にか元の甲高い声に戻っており、手付きも繊細で絶妙、喘ぎ声も抑えられず身悶えればなんとしたことか! 一人が後ろの指を段々に増やし、しかも広げたり押したり揉んだりとテクを尽くしている一方で、もう一人がルシウスの両の乳首をツネツネくにくに摘まんだり引っ張ったり揉んだりしながら、あろうことか股間に顔を埋めたではないか! 皇帝も絶句して只々それを見守るばかり。

「あ、ん、ん、ん…んんーーーっ」

 ついに達ってしまった。

『こーやってー、愛するハニーにはご奉仕してあげなくっちゃ、ねー』
『ねー』
『ほら、今度はアンタの番よ、やってごらんなさい』
『これ、あげるからv 四十八手図表、役に立つのよんv』
「う、うむ」

 はぁはぁと激しく胸を喘がせているうちに、何やら残りの3人の間で話が纏まったらしく、ルシウスはひょいっと持ち上げられた。

「わわっ 今度はな、なにを!」
「ルシウスよ、世が悪かった。 この者達は至らぬ世にアレの時のテクを伝授してくれんと、このようにソナタと世を呼び寄せたに違いない。」

 平たい顔族の男一人がルシウスを後ろから両足を広げて抱き上げた。 開脚だ。 恥ずかしいことこの上ない。 もう一人の男は乳首に舌を這わし、片手でもう一方の乳首を捏ね、もう片方の手でルシウス自身を握り扱く。 そして皇帝は、ルシウスの膝裏を両手て持ち上げると、ゆっくりとその剛直したモノを宛がってきた。

「世は誓うぞよ! 生まれ変わってソナタに溢れんばかりの愛を注ぐと!!」
「へ…陛下…あ、ああーーーっ」

 皇帝は、挿入した後も彼らにモノの角度やら突く場所やらを指導され、見違えんばかりに上達していった。

『いいわ〜、そうよ〜、上手よ〜v』
『ああ〜ん、なんだかこっちまで興奮してきちゃうv』
『ハニーッ!』
『ダーリ〜〜ンッ!』

 ルシウスの顔の上辺りで平たい顔族の男達がむしゃぶりつくように接吻け合い出した。 背中には二本の硬いモノが擦れてくる。 皇帝のピストン運動もいよいよ激しさを増し、ルシウス自身を扱く男のゴツイ手も激しく上下し、そしてついに…

「あああああーーーっ 陛下ーっ」

 ぶわわっと膨張したルシウスを男の手がぎゅっと握り、親指が先端を抉った。 皇帝が射精の呻きを上げ、腹の奥が熱く濡れる。 そしていつものように頭が白み、段々と意識が薄れてきた。

「へい…か…」

               ・・・

「陛下、へ、陛下…、も、もうお許しをー、あ、ああーっ」

 そして、無事に二人してローマにもどったルシウスとハドリアヌス。 今日も今日とてベッドで励むのであった。 もう流血の憂き目を見る事は無くなったが、一日として離してもらえず、本業のテルマエの設計もお預けのまま。 あの謎の液体の再現も、透き通る壁の研究も、皇帝の飽くなき性への探求心の前には無意味であった。 ああ、ルシウス・モデストゥスの運命や如何に。 四十八手制覇まであと二十手…。




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